2146 前に進む為のxの問い編 520
「知り合いですか?」
「まあ……」
僕は目の前の妖精の言葉にそう答えるしかできない。
「セツリちゃん! おーい!」
そんな風に楽しそうにアーシアは手を振るが、もちろんだけど月の映像に映ってるセツリがそれに応えるなんてことはない。寧ろ応えたらびっくりだし。それに……だ。
(意識、あるかあれ?)
なんか綺麗な玉座に座ってるセツリの顔はうつろだ。一応起きてはいるようだけど、意識がはっきりしてるようには見えない。なんか半目だしね。普通は半目とかだとちょっと間抜けな感じの顔になりそうだけど……セツリは元の顔がいいからだろう。そんな感じはいっさいない。
むしろなんかアンニュイな感じでいつもよりも色っぽい。それに、それは今の格好も一役買ってるだろう。なにせドレスだし。肩や鎖骨が大胆に出てるからね。色っぽい。鎖骨の凹みとかさ。
「どうやら運が彼に味方したようですね。まさか、月の姫となる資格をもった相手を引き当てるとは」
「何か知ってるんですよね?」
てかこの妖精もそうだしシ〇神様もどうやらこれを感じ取ってたような気がしないか? だからこそ、僕を呼んだ……くさい。まあけど実際、僕を呼んだとしてどうしてほしかったのか謎だけどね。それは今からきっと説明してくれるだろう。
「ええ、まず前提として、あそこに座るのは私のはずでした」
「え?」
「凄いね!!」
アーシアはなんか感心してるが、そうじゃなくない? いや、凄いけど……それにもともとこの妖精があそこの、セツリが座ってる玉座に座る予定だったとしたら、確かにいろいろと知ってておかしくない。でもこの人はここにいる訳だが……どういう事だ? そしてなんでセツリはこの妖精の代わりにあの玉座に座ってるわけ?
「まずは自己紹介をしましょう。途中でしたしね。私は『ペルチェルラ・ド・ムーンライト』です』
そういってカーテシーで挨拶をしてくる妖精。やっぱりだけどなんか品がいい。確かに玉座に座りそうな雰囲気はある。それに名前が明らかに……ね。ムーンライトってどう考えてもなんか月に関係あります――って言ってるよね。