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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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2121 前に進む為のxの問い編 495

「ダメか……」


 適当に投げたナイフはただ勢いをなくしてどこまでも落ちていった。どうやらこの空間は、床があるのかないのかもわかんない。私たちは普通に立ったり走ったりできてるが、なぜか投げたナイフは私たちが立ってるよりも下に落ちていった。ただ投げた場所がそういうぽっかりと空いてる場所? いや、それはない。なにせそんなに思いっきり投げてなんてない。


 私たちとそしてメカブちゃんの間くらいの距離のところまでしか飛ばなかったし。それなら……だ。それなら私たちとメカブちゃんがいる場所の間に床がないってことになる。でも、そんなことはなかった。それに……だ。私は一つじゃなく、複数本のナイフを左右斜めとか放ってた。


 それら全てが私たちが立ってる場所よりも下へと落ちていった。もしも虫食い状態だったとしても、そんな確率はない。私が投げたナイフが全部ちょうど虫食いの穴へと落ちたなんてありえないよ。


 それなら考えられるのは、アイテムにはこのステージの『床』は適用されないのかもしれない。もしもメインの武器を落としてしまったら……回収不可能ってことになる。


 それはなかなかに酷いステージだ。一応いろいろと回収手段はあったりもするが、一番確実なのはやっぱり拾い上げるっていうね。キーというか、ポイントを付けておくと、いくつかのアイテムなら、一定以上離れたら勝手にインベントリやらそれこそ収めてる部分に戻るってことをできるアイテムもある。


 でもそれも絶対ではないんだよね。戻ってこない時もある。それはバグとかではなくて、別のプレイヤーに拾われたりね。それにこういう場所ではそれこそ特別な力が原因だといわれてる。システムではない。それこそこういう固有のステージはそれだけ相手の力が満ちてる――という設定だ。そうなると、こっちの力がちゃんと働かないっていうね。


 なので私のナイフたちはすでに回収不可能だろう。そもそもがそんなに重要なアイテムでもないし、元から使い捨て感覚のナイフだったから別にいいけど……それよりも……だ。


(やっぱり適当に投げて当たるなんてそうそうないよね)


 なのにさっきこの空間ではないが、クリスタルの森で同じことを二度も起こしたメカブちゃんとは? 彼女はどちからというと、運が悪い方である。


 不幸体質ってやつだ。でもそれを本人は「世界が私を排除しようと動いてる。私は世界に不都合な存在だから」といって楽しんでる。今回のそれは、きっとその不幸体質がたまに反転した結果なんだろう。不幸体質だけど、それがいい方に働く……なんてこともたまにはあるみたいだからね。


 それか実はLROではメカブちゃんの不幸体質が反転してるとか? どうやらLROには見えないパラメーター的なものがある気はする。


「レシア、範囲攻撃とかない?」


「やってみる」


 私も一応範囲に斬撃を飛ばすスキルとかある。けど、今の私よりも確実にレシアの方が強い。それに炎とか吐けるし、それならレシアが適任かなって思った。メカブちゃんに頼めたらもしかしたら今もアンラッキーが反転して、うまく本当の妖精王に当ててくれるかもしれないけど、今はメカブちゃんもそれどころじゃないからね。なんとか妖精王の攻撃を防ぐので手いっぱいだ。


 レシアが背中の羽を広げて、一気に上空にとんだ。そして頬を心持ち膨らませたかと思ったら、すごい大きさの炎を吐いた。本当にちょっとしか膨らんでなかったのに規格外の炎が出てきて驚くよ。それが一気に私の視界全体を覆った。

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