2119 前に進む為のXの問い編 493
「つっ!?」
私の盾が!! そこそこ高かったのに!! 修理にだってお金はかかるんだからね!! LROはモンスターを倒すとお金になるから、リアルよりも全然簡単にお金が稼げるのはとてもいいけど……それでもやっぱりお金を稼ぐというのは大変なのだ。まあけど今はそんな事を言ってる場合じゃない。
このままじゃ、蜂の巣だ。一応レシアは攻撃をすでにしてる。けど、どうやらこの光線は自立型らしい。かってに集まって、そして勝手に発射されてる。なら、完全にレシアが妖精王を倒さないと止まることはないってことだ。
「ごめんメカブちゃん!」
「へっ? ってちょ!?」
私はメカブちゃんの首根っこを掴んでその場から移動した。私とメカブちゃんはそんなに背丈が違うわけじゃない。いや、LROではどうやらメカブちゃんは理想の女性像を体現するためにそのようにキャラを作ってる。だから私よりも実際背丈は高い。けど多少の体格なんてのはどうにだってなるのが、LROの中だ。そもそもがゲームでは華奢な女の子がどでかい剣や斧を振り回す……なんてのは昔からあるからね。だから人一人分なんて造作もない。まあ実際は、そんな軽々と……やってるわけじゃない。私はそんなに筋力にパラメーターを振ってるわけじゃないしね。
どっちかと言うと、私は素早さやら、色々な耐性に振ってる。オールラウンダーを目指してるからね。それはちょっと間違えば器用貧乏となる。実際、今の私はどっちかと言うと器用貧乏って言える。強みがないからね。月のスキルは気に入ってるが、そこまで強みが有るスキルなのか? といわれと、そうじゃない。だからあんまり使ってる人が居ないんだが。
とりあえずその場で動かなかったら、光線に撃ち抜かれてしまうから、私はメカブちゃんを持って移動する。私達を追いかけるように光線も移動してくる。一瞬一瞬で消えると言うよりも、数秒は続く攻撃だから、放たれたまま私達を追ってくるそれがどんどんと増えたりしていく。いや、もちろんちゃんと数秒後には消えてるはずなんだけど……
(数が増えてる)
そうなのだ。数がどんどんと増えて行ってる。なので、どんどん私達は追い詰められてる。
「ちょっともっと丁寧に扱ってよ」
「そんな場合じゃないでしょ!」
アホな文句言ってないで、メカブちゃんもなにかしてよ!! このままじゃ近いうちに避けきらなくなるのは目に見えてる。こうなったら……
「もう十分回復したよね?」
さっきまで瀕死だったけど、今はもうHPは満タン近くに成ってる。なら……
「へ? ちょっ――我が声、我が魂に応えよ――」
私はメカブちゃんを放置した。そして一気に妖精王に近づく。私に放置されたメカブちゃんは詠唱を開始した。めっちゃ早口で長い口上を紡いでる。いつも言い訳ばかりしてるからだろうか? あれだけ長い詠唱を噛むことなく言い切るとなんか黒いバリアが生成されてた。
てか……
(今のって、オリジナルの詠唱のような……)
それって私はシルクちゃんクラスの魔道士しか見たこと無いが……きっとメカブちゃんもやり方をシルクちゃんに教わったんだろう。けど難しくて私は今は諦めてるんだけど……それをどうやらメカブちゃんは成し遂げてるらしい。
(なんか悔しい……てか納得できない)
なんでメカブちゃんがオリジナル詠唱を完成させてるのよ。