2114 前に進む為のxの問い編 488
「えーと」
なにか気まずい空気が流れる。仕方ないよね。だってあれだけ決めてたのに、あんな風に訳わかんないところに行っちゃうんだもん。あれは狙ってもできないよ。流石メカブちゃん! とか言った方がいいだろうか? とか悩む。
「いた!?」
「「え?」」
なんか聞こえた。痛みを訴える声が。え? もしかして今の当たった? 確かにあんな暴投、よけろっていうほうか難しいと思う。でもだからって当たる確率も相当だと思うけど……なにかメカブちゃんは持ってるよね。
「ふふ、私の運命の輪ことディスティニーアーチからは逃れることはできない」
なんかポーズ決めてそんなことをのたまってるメカブちゃん。切り替えが早い。さっきまで赤くなってプルプルしてたじゃん。なのに速攻でポーズまで決めて変な設定を作りあげるとかその立ち上がりの速さは本当にすごい。
「ふ、次はどこかな?」
するとさっき投げたはずのわっかがメカブちゃんの手の中へとシュっと戻ってた。なにあれ? 帰還機能があるの? そして今度は足を大きく広げて、斜め後ろから反対側の上方へと体を動かして投げる。
「うん、もっとちゃんと持ってなげたら?」
さっきから人差し指でクルクルやってるから、狙いじゃない所ですっぽ抜けるんだよ? 再びあらぬ方向にわっかは飛んでいく。するとなんか刺さった。空中に。
「え?」
「え? どういうこと?」
私とメカブちゃんは互いに同じようなことを言うよ。だって……空中で止まってるよ? これってつまりはそこに何かある……ってことではないだろうか? いったい何が? いや、考えられる事ってそんなにないから見当はつく。見当は……ね。でもそれって……ある? 今だってわっかは微動だにしない。
もしも私が思ってる通りのことが起こってるのなら、さすがに微動だにしないのはおかしい。
「ごめんメカブちゃん!」
私はそう断って、飛び出した。そして自身の剣に月の光をまとわせる。そしてそのわっかをめがけて攻撃を叩き込む。
「はああああああああああああああああああああ!!」
これは――!? 感触がある!! 切った感触。それが剣に抵抗を与えてる。でもいける。私はそのまま、剣を振り切った。
「ちょっとおおお!!」
なんかメカブちゃんが文句言ってるが、だから最初に断ったじゃん。あれ事たたき切るよ――って。
「なんてことするのよ!!」
「メカブちゃん凄い!! よくやった!!」
「え?」
「お手柄だよ!!」
「あっ――うん。ふふふふ、さすが私ね!!」
背景にドバーン! と大漁旗でも見えそうな感じで胸を張るメカブちゃん。よかった、彼女がちょろくて。