2112 前に進む為のxの問い編 486
「きゃあああああああああああああああああああああああああああ!!」
そんな悲鳴とともに堕ちていくメカブちゃん。私達はそんなメカブちゃんになんとか追いついて彼女を支えた。レシアがお姫様抱っこをしてね。けどなんか下から冷気が私達の周囲に集ってくるような……一気に体感温度が下がって、私達の息が白くなる。さらにさらに、それだけじゃすまなかった。
なんか足先から氷が体にできてくる。流石にこれは……
「レシア上に!」
「わかってる」
そういうとレシアは羽を動かそうとした。けど……動かない。なんと私達はそのまま氷に覆われた森へと堕ちていく。どうやらいつの間にかレシアの翼が凍ってたらしい。足先がちょっと凍ってる間に背中の氷が完全に凍るって……そんなのおかしい。確実にこれは攻撃だ。
「むむ」
そう言ってレシアは軽く頬を膨らませて首を回すようにして炎を吐いた。それによって、わたしたちの周囲だけ熱が広がる。広がる優しい炎――すると体に覆いかかってきてた冷気が払拭されて、そしてレシアの翼の氷もとけた。大きく広げる翼。それによってなんとか氷に落ちる直前で体制を立て直すことができた。けど上を向くとなんと、冷気が空を覆ってた。いや違う、多分だけど、このクリスタルの森の全体を冷気が覆ってるんだ。なんとか私達の周りはレシアのおかげで、熱を持ってるけど、周囲はもうかっちんこっちんである。
「もう一度燃やす?」
そんな物騒を事を言ってくるレシア。確かにこれだけ冷えてるのはまずそうだから、それもありっちゃありだけど……むやみに燃やしてもきっとまたこの氷が襲いかかってくるだけだろう。それに私達がこの森を出られないのは変わらないし……するとなんか声が聞こえてた。
『なんて事を……おお、なんてことを……』
とかいう女の人の声。妖精だろうか? 私達は背中を預けあって、どこからともなく聞こえるその声を警戒するよ。
「なんかホラーじみて来たわね……」
そんな事をメカブちゃんがいう。たしかにね……レシアが炎を出してくれてるとは言え、周囲氷の世界だし、それを見てるだけでなんかブルッと体は震えだす。そして女の声。これは間違いなくホラーだろう。周囲の氷に反射してそこそこ明るいからまだいいけど、これで夜とかだった、ガチでビビっちゃうよ。
『貴様たちは、やってはいけないことをした。万死の報いを』
その言葉と共に、わたしたちに向かって氷の礫が一斉に飛んできた。けどそれはレシアが炎で溶かしてくれる。けどどうしよう? だって私も打って出たいが、なにせ目標が見えない。声は聞こえるけどね。
居場所がわからないと剣だってあてようがないのだ。