2101 前に進むためのXの問い編 475
「やるじゃん」
そういったメカブちゃん。でもそれはどうみても余裕しかないような表情をしてる。一応切ってるんだよ? ダメージだって……
「は?」
なんか気づいたらダメージさえ負ってない。彼女のHPは全く減ってない。てか……
「ちょっ!? それどういうことよ!!」
なんかおかしい。私は攻撃を続けながらそんなふうに叫ぶ。だって……だって、なんかメカブちゃんのHPのバーが6つくらいあるんですけど? おかしい。これはおかしいよ。それにいくら攻撃しても何も減ってない。
「え? なんの事?」
「わかってないの? そのHPよ!」
「わあ!? なにこれ?」
そんなふうにメカブちゃんは驚いてる。どうやらマジで気づいてなかったらしい。まあ実際、自分のHPってそんなに気にしないっていうか? ピンチにならないとそこまで気にしないよね。でもこれはメカブちゃんだっておかしいってなるだろう。だって普通はHPバーが縦に並ぶなんてない。これがなるってボスである。ボスではたしかにいくつものHPバーが並んで、それを一本ずつ減らしていくってことになる。けどプレイヤーの場合は、一本しか見たこと無い。それこそ装備とか能力とか、さらには食事とかでHPをブーストしてたとしても……こんなことにはならない。
それなのに何故か今のメカブちゃんには複数のHPバーがある。どういう事?
「ふふ、ふふふふふふふ! これでも私に勝てるって? さっきから全然痛くないなーって思ってたんだよね」
そう言ってメカブちゃんが拳を向けてくる。私もメカブちゃんも一応はオウラさんを師事して訓練を受けた。まあメカブちゃんの場合はほんの数回だが……でもそれでも、そこらの女子よりはマシなパンチを繰り出してくる。ちゃんと腰も入ってるしね。けどそんなのはやっぱりだけど、素人パンチである。私はこれでも前衛としてモンスター相手に至近距離でバチバチに戦闘をしてる。人間よりもより動物的で野性的なモンスターを相手にしてるんだ。予想外の攻撃なんてのは奴らはしょっちゅうしてくる。
それに比べたらメカブちゃんの攻撃なんて単調そのもの。私はその拳をよけて、腕を叩き切ってやった。エフェクトになって消えていく腕の先……のハズなのに、たしかに切った場所はエフェクト分解してる。でもメカブちゃんの拳は消えない。それを実感してメカブちゃんはいうよ。
「どうやら私、無敵の体を手にしちゃった件」
ラノベ風にいうな!!