2097 前に進む為のXの問い編 471
「メカブちゃん、ちょっと痛いかもしれないけど、慣れてるだろうし、遠慮しないよ。今ならまだ、私たちと仲良く帰ること、できるけど?」
「ふふ、何言ってるのよセツリ。そんな顔してもだめだよ。だってセツリかわ……コホンコホン……だってセツリ、そんなに強くないじゃん。私をどうにかできると思ってるの?」
なんかさっき私のこと可愛って言わなかった? まあ実際なんか時々熱い視線を向けられてるな−−って思う時はあったけどね。メカブちゃんは私の顔が大好きなんだよね。LROでのキャラメイクが私の顔によってる気がしないでもないのはちょっと……と思ってるんだけどね。
でもキャラメイクはそれぞれだからね。あくまで似てるかもってだけである。私がそれを指摘すると、なんか私が自惚れてるみたいじゃん。いやそんなことはどうでもいい。
なんか今のメカブちゃん、やけに私のこと馬鹿にしてない? いや、確かに私もちょっとは……そうちょっとはメカブちゃんのこと馬鹿にしてるし、なんなら見下してる。この子と比べたらまだマシだよね−−と時々思ってるのは内緒だ。でももしかして……
(メカブちゃんも私の事同じように思ってる?)
−−そんな疑惑が出てきた。私はメカブちゃんは一番気兼ねなく話せる友達とも思ってはいる。もちろん見てて安心する部分も多大にあるが、まさかメカブちゃんにまで見下されてた? それはちょっと許せないよ。
「言っとくけど私、メカブちゃんよりは絶対に強いよ?」
私は努めて冷静に、そして笑顔でそう返した。するとメカブちゃんはなんか漫画の悪役令嬢がやりそうなポーズを決める。上体を反らして、顎を上げて、片腕を口元まで持っていき、なるべく私を見下すようにして−−
「私だって、力ならセツリに負けないよ。いや、負けるはずないよ」
「あっそ、泣いても知らないからね」
「それはこっちのセリフだから」
こうなったらもう止まれないよ。私はもちろん、ちゃんと腰の剣を抜いた。確かに今のメカブちゃんは普段と違ってなんか妖精の後押しを受けてる。でも卑怯なんて言うまい。だってこっちにはレシアもいる。
「ちょっと、その女邪魔じゃない? 卑怯よ」
私はメカブちゃんが妖精の力を借りてることに文句一つ言ってないのに、堂々とレシアの助力を卑怯というその根性。流石メカブちゃんだと思った。