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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
2081/2701

2080 前に進むためのXの問い編 454

「マザーごめんなさい。今更だけど……私いっぱい迷惑かけたよね? 私の精神、ずっと守ってくれてたんだよね」


 私はずっとこのLROの世界に囚われてた。引きこもってたとも言って良い。実際ほとんどはねてたんだけど……でもだからって何年も何年も、私を安らかに眠らせてたのはマザーのはからいがあったからじゃないだろうか? それを許してくれてたから……そしてそんな何年もこの世界に居た私を見捨てないで、道を残してくれてた。


 帰る道を。実際それはお兄ちゃんの計らいでもあるとは思う。私をリアルへと戻すこと……それは願いの一つでもあったから。マザーとかはシステムだし、生みの親であるお兄ちゃんが命令してたのなら、ずっとそれを続けるのは当たり前なのかもしれないが、レシアたちだってそうだし、LROにいるほかのNPCたちだってそうだ。


 このゲームのNPCたちには心がみえる。実際それは目視できるとかじゃないよ。ただそう感じれるってことだ。それは私の主観じゃない。誰もがそう言ってる。いわゆる皆ってやつである。


 


 けどこの場合の皆は曖昧なものじゃない。いや曖昧だけど……この場合の皆は核心持って『皆』と言えるのだ。同調圧力をかけてくる時の様な「皆が言ってたから」「皆そう思ってるぞ」とかそんな曖昧に使われる『皆』ではない。


 LROをプレイしてるプレイヤー『皆』が思ってる。それこそ今からLROを始めるという人達なら、NPCだって気づかないレベルだ。今までのゲームではNPCと言えば特定の言葉を受け答えする――ってのが定番だった筈だ。


 けどLROのNPC達はちがう。普通に何も気にせずに会話できる。言葉だってAIくささとかない。ハッキリ言って世の中のAIとかから、数世代は先を言ってる感じがLROはある。


 そして普通のNPC達でそうなのだ。それならマザーなんてのは出来た……それこそ作られた当初から心的なものがあったんでは? 実際私達が心と感じるのは、そう感じるように作られてるのかもしれないが……それなら感じるってことはしてるはずだ。なら心の定義とは……


 まあそんな難しい事をいうつもりはない。ただ何よりも、そして誰よりも早く心を再現されて、私を守ってくれてたのはマザーだという事実だ。なのに、お礼の一つも言ってないのは問題だよね。


「マザーありがとう」


『それは私の約目ですので』


 あくまで事務的にそう返すマザー。ここでちょっと「別にあんたのためじゃないんだからね!」とか言ってくれたら可愛げもあるのに。けどこれがマザーだよね。実際ただの文字だけ何だけど、私にはなんかその文字が柔らかくなってるようにみえる。いや、フォントが変わったわけでもないんだけどね。


 自分でも不思議だ。

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