2074 前に進む為のXの問い編 447
「静謐の白、映すは心、しんしんとしんしんと下がれ下がれ。熱を心をただ静かに。触れればしもり、刺されば凍る、花のように咲き誇れ。妙妙には煌めき、夜闇にはその暗がりさえ写すだろう。
ハイ・グラス・ダイアモンド」
私の詠唱とともに、湧き出してた水が一斉に凍る。暖かったこの空間だけど、一瞬にして、銀世界……いや鍾乳洞のようになってしまった。氷柱が天井から垂れ下がり、現れた水は全てが凍ってる。
「まさか……ここまでなる……なんて!」
私は目の前の氷をパンチして砕いてとりあえず四方の氷から脱出した。まあつまりは私も巻き込まれてたわけだ。けどそれも仕方ない。だってこれは魔法の効果以上の事が起きてるのだ。
普通はLROの魔法はフレンドリーファイヤはしないようにシステムでなってる。だから自分の魔法の影響を自分が受けるなんてない。だってそうじゃなかったら、あんな魔法が自分を起点に起きたりしたら、炎だったら自分だって丸焦げになっちゃう。そうならないように、自身の魔法は自分に影響を及ぼさないようになってる。けど二次的な被害ならべつだ。
炎の魔法なら、それ自体を術者は熱い、なんて思わないが、それが燃え移った火なら熱いと思う。そういうことである。つまりは今回のこれも、そもそもがグラウンド・シーは水柱を複数召喚して、その水に巻き込まれた敵を押し流したり、無力化したりするのがグラウンド・シーである。
そしてハイ・グラス・ダイアモンドは周囲に強力な冷気を展開する魔法だ。ダイヤモンドダストって現象があると思う。気温が低いと空気中の水分が凍って、それが光に反射してキラキラとして見える――というとても幻想的な景色のことだ。多分それを模倣して作ってある魔法だと思うけど、これは周囲に強力な冷気を振りまくってのがいいのだ。直接的な攻撃じゃないけど、この魔法の冷気は本当に強力だ。魔物が体内から凍ってしまうくらいには強力なのだ。
でもこれも時間経過が必要だ。凍傷という状態異常がある。それがまずは蓄積される。そしてそれが一定値を超えると、凍結になるのだ。でも大体はそこまでいかない。アホなモンスターならいけるけど、プレイヤーとか知能が高いモンスターは結構すぐに対策する。
だから凍結なんてなかなかいかないが、凍傷でもかなりバッドステータスがつくからね。これはあくまでも戦闘を有利にする為の魔法……という気持ちで知ってたのだ。けど……
(思いつきでもやって見るものだね)
私は自分の思いつきに感心してるよ。