2069 前に進む為のXの問い編 442
とりあえずレシアはストーンウォールという魔法で囲ってやった。これで少しは時間が稼げるだろう。その間に私はインベントリに有意義な魔法の詠唱を表示する。使えそうな魔法は以前からピックアップしてたからね。
もちろんピックアップしてただけで、実際戦闘で使うことはなかった。でも今ならいける。やっぱりだけど、初期魔法では辛い。いくら強化されてる……と言ってもだ。もともとクソ雑魚魔法だからね。
レシアを倒すには心もとないのだ。そもそも私はレシアを完全に打ち倒す事が目的ではない。レシアの動きを止めて、このドラゴンの夢の帳の能力の一つである「夢の終わり』というのを当てたい。
当てたい……とかいってるが、この夢の終わりとかいう能力がどういうふうなのかはわかんない。だから今の内にこっちを一回試してみるのもいいかも……なにせどういう風に発動するのかわかってないと、使い方を間違うかもしれない。
だから試してみたい気持ちはある。けど戦闘中にその隙きがあるか? というとね。
「暗き夜から溢れる闇よ。業火の奥のさらなる闇よ。地獄に処された魂の叫びに近し音色のような旋律よりも更に高く。更に低く。細き道、暗き道、深き道、落ちる道。何者も選ぶことが出来ぬ道。
かの魂に選択の余地はなし、かの魂に、もがく余地はなし。生生に戻れると思うなかれ。罪は消えることはない。罪が許されることもない。願うな、縋るな、望むな。その資格は唯一、閻魔にだけあり――」
私は長い長い詠唱を紡ぎ終わった。魔法陣が広がっていく。私を中心に、大きな魔法陣だ。黒い光を放ち、そしてその文字は金色。実は何回か甘く噛んだわけだけど、ちゃんと発動してる。動いてないでこれだからね。動いてると、更に武器を振り回してたりすると、やっぱりこれが成功するビジョンがみえないよね。
まあいいよ。今はこの魔法を発動するのが大事だ。ワクワクである。
「――ヘルフレイム・ファイヤバースト!!」
魔法の発動点である、レシアの足元にも魔法陣が広がったんだろう。私の足元と重なるように魔法陣が現れる。そしてビキバキと私が発動してたストーンウォールがひび割れてきて、隙間から、紅き赤い、そして中が黒い炎が吹き上がってきた。まるで一つ一つが大蛇のようにうねり猛りながら燃え盛る炎。レシアを囲んでたストーンウォールは一瞬にして砕け散った。こっちにまで伝わるその熱の凄まじさはやばい。
もしもここがリアルだったら、この程度の距離でもきっと燃え尽きてるんじゃないか? って熱量を感じる。それだけの強力な炎が渦巻いていた。