2061 前に進む為のXの問い編 434
「いけ……る!!」
私は痛みに耐えて指を動かした。すると目の前に半透明な画面が出てきた。インベントリだ。どうやら上手く行ったらしい。本当なら自分に攻撃を通すってなると、二次被害を考慮する必要がある。炎を出すことが出来るのなら、自分が出した炎ではなくて、その炎が燃え移った炎の方でしかダメージを受けないし、光線とかはなつのなら、それを直接当てるんじゃなく、それで破壊した岩とかに自分が押しつぶされる……とかだ。
そうやって初めて自分自身にダメージを通すことが出来る。まあ実際、そんな事を意図的にやる……って人はそういない。いや自傷ダメージを受けてステータスアップする装備……とかはたまにはあるようだけどね。
そういうのは大抵は呪いの装備? とかよばれたりするが、実際、聞いたところによると、そういう装備のほうがパーセンテージはいいらしい。パーセンテージっていうのは、ステータス上昇率とかそういうのだ。
だから自傷ダメージを狙ってやる人……そういうスキル構成にしてる人もいる可能性はある。まあけどある意味で自傷ダメージを与えるのは大変なのだ。けどある一定のダメージを超えるとバグってしまうってのはどうしてもこの世界……LROにだってある。
普通は壊せないような町中のオブジェクトとか、想定以上のダメージを与えると壊れたりするからね。今回もそれを狙ったようなものだ。想定以上の威力のダメージによって、プレイヤーを守ってるシステム的な守りをばくらせた結果、私にダメージが通って背中の炎を消したんだと思われる。
「なにか……ない? メカブちゃんの方のアイテムも……見てみよう」
いいよね。なにせ私が預かってるんだから、今は実質私のもの……だろう。
「これは……」
そして私は発見した。その武器を私は取り出してみる。それは杖だった。カテゴリー的には杖だ。けどローゼちゃんやシルクちゃんが持ってるみたいなそれこそ全身クラスの大きさの杖じゃない。20センチくらいの白い杖。でも太さは一定で、魔法の杖……というよりもなんか棒だ。表面には複雑な模様が入ってる。名前は『ドラゴンの夢の帳』とか書いてあった。
ここの全ての装備がそうだけどこの『ドラゴンの夢の――』とついてる。夢って部分が気になるよね。でもこの場所ならこの能力は発揮されるわけだし、この杖の能力だって発揮されるはずだ。
この杖にはそれこそ破格の性能がついてる。魔法ダメージが30%アップとか詠唱猶予に詠唱省略とかそれこそ後衛だったら喉から手が出る程にほしい能力が詰まってる。
でも私が見たのはそれじゃない。異質を放つ一つの能力……『夢の終わり』である。