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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
2039/2701

2039 前に進むためのXの問い編 412

逃げられるだろうか? いや、逃げて見せる!! どうやらグラッパルは横移動にはなかなかに強いらしい。じっさいはそんな素早く動いてるわけじゃない。けど、グラッパルはその鈍重さを、強力な吸引力でカバーしてる。なにせグラッパルはかなりの範囲を吸引できるみたいだ。


 私はまだ走れてるが、吸引力が背中をサワサワしてるのを感じてる。このままじゃ、いずれあの吸引力に私もまきこまれる。そうして、そうなったら逃れるすべはない。


「もう一回あれを食らうのは嫌だ……」


 私は切実にそう思った。だってなんか臭いし、ベタベタだし……何よりも、さっきは無事だったけど、今度も無事に外に排出される――とは限らない。今度はHPがゼロになってしまう可能性だってある。


 そうなったら多分もうここに戻ってくるすべはきっとない。妖精の気まぐれでこんなところに来てるわけで、そして妖精は気分屋だ。つまりはお願いしたところで、もう一度ここに送ってくれるかは分かんない。


 だからなるべくできることは全部やっておきたい。こいつを倒して、どうにかその先に……私は自分がそんなに強くないって知ってる。なにせまだまだ私は初心者だ。きっと初心者には厳しい場所なのかもしれない。


 それは何となく感じる。けど……だいたいLROは知恵と勇気、そして好奇心が大事だとみんなが言ってる。そして初心者だってやり方次第ではどんな冒険でも活路を開けるように出来てる。そしてどんなに強く、スキルを大量にもってる強プレイヤーでも、慢心してると冒険には行き詰まるっていうね。そういうふうにできるてるのだ。


「お兄ちゃん、私に力を貸して」


 そう言って私は地面を蹴って飛んだ。グラッパルは横への対応はその吸引範囲らしく対応してくる。なら上は? あいつの体的にその体を持ち上げられそうも無いような……そんな気がしたから、私は頭上を狙うよ。


(間に合って!!)


 グラッパルがすこしでも速く反応してあいつが上を向ける範囲に私が入ったら、終わりだろう。だって空中だと耐える……なんてことは出来ない。


(すこしでも速く奴の上を通るためには――)


 そんなことを考えて私は札を取り出した。風の札だ。それは攻撃するためじゃない。だって全ての攻撃はあいつの口に入った瞬間に無に帰す。意味なんてないってのはわかってる。だから私は後ろで発動させて、自分の体に当てた。自分の魔法にはダメージはない。直接当てる分にはね。


 だから遠慮なんていらない。風で自分を更に運ばせて、ちょっとだけ上を向いたグラッパルの吸引範囲から私は逃れて奴の体へと乗った。


「ここなら、小さくなってなくても攻撃が通るのでは?」


 とか思ったけど、そういえば私の剣……ぶっ壊れてたよ。

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