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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
2038/2701

2038 前に進むためのXの問い編 411

私はグラッパルに切りもみにされながら、体内を通って――(といっても、中は牙しかなかったわけだけど)――後ろの方から排出された。


「ぐえっ!? ごふっ……」


 私はなんとか生き延びた。肛門から排出された感じで、私の人としてのなにか? はなくなったかもしれない。けど、まだ私は生きてる。


「くっ……」


 私はすぐさまジェスチャーコードを使ってインベントリから回復薬を手の中に召喚した。そしてそれを片手でパキッと先端を折って、中身をあおる。中身がなくなった瓶は勝手に消える。けど別に消え去ってるわけじゃなく、インベントリに戻ってる。


 空の瓶としてインベントリにたまるのだ。それは後に道具屋とかに回収してもらえば、雀の涙くらいのお金になる。まあリサイクルという奴だ。ゲーム世界でリサイクルなんて意識する必要があるのかは疑問だけど、この世界は息づいてるからね。


 そのためのリアリティなのかもしれない。とりあえず、一本では心もとないと思って、私は二本目もかっこんだ。これでHPは全快に近くなった筈。でも…………


(どうしよう)


 …………だ。だって、このモンスター、グラッパルに対抗する手段がない。グラッパルはまた小さく、平べったくなった。それはつまり、もう一回さっきの吸引機みたいなことをやってくるって事だろう。それは困る。私はとりあえず、札を取り出して攻撃をしてみた。炎を召喚して、それをグラップルへと向かわせる。剣が折れたからね。


 小さくなったグラッパルは別に避ける……とかしないらしい。そもそもがあいつは別に移動とかしてない。その場から一歩も動いてない。なので札の魔法にも普通にあたった。


「当たるんだ」


 私はさっきのことがあったから、何かの力が働いて当たらないと思ってた。けど普通にあたったし、なんならダメージが通ってる。これってつまりは……


「今が攻撃チャンスって事だよね!!」


 意外なところで、攻略法が見えた。このチャンスを逃すことはできない。私はありったけの札を取り出そうとしたけど、グラッパルが再び大きくなる方が早かった。


「くっ!!」


 私はとっさに横方向に走った。なんとかやつの吸引力から逃れようとしたんだ。けどどうやらグラッパルの奴は私を追うように体を移動することはできるらしい。首を回す程度の移動はできるってことだ。つまりは後ろに回って攻撃し放題……とかにはならないらしい。


「図体はでかいのに、旋回はそこそこ速いんだね!!」


 私は走りながらも札を使ってた。呼び出した炎や電撃やらを飛ばす。けど……


「吸引器状態じゃ、どんな攻撃も効かないってこと?」


 グラッパルの口の中に吸い込まれていくと、ダメージになることはない。そもそもがあたってないというか、口に入った瞬間に札から生まれた魔法たちは消えている。つまりはグラッパルに攻撃を加えることができるのは、吸引器状態になる前の、あの準備段階しか攻撃を通らせる場面はないのかもしれない。

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