2037 前に進むためのXの問い編 410
ぶおおおおおおおおおおおおおおおお!!
とダイソンも真っ青な衰えない吸引力が私を襲ってる。すでに一分くらいは我慢してる気がする。けど全くと行っていいほど、吸引力が変わらなく……いや……
(寧ろ……強くなってる……)
私の強化されてる力も限界が近い。流石のLROで身体能力が強化されてて、そして強化魔法やスキルによってブーストしてるのに……限界は近い。そしてどうやらあの変な筒状のモンスターである『グラッパル』はまだまだ余裕のようだ。
(こうなったら)
こういう時の対処法も、私は知ってる。漫画で見た。ああいう吸引力が強くて、そしてその吸引の中に入ってしまって耐えてる場合……こうやって耐えられなくなってしまうってのが定番である。
でもその先に、更なる定番がある。つまりはわざと吸い込まれて、口のなかに強烈なスキルを打ち込むというものだ。まあようはドラゴンのときと一緒である。でもすでに体内に入ってるのに、更にあのグラッパルの体内に入ったらどうなるのか……正直分かんない。
けどこのままじゃ遅かれ早かれそうなる。なら握力が死んでまともに剣も握れないようになる前に行動に移すのは正しい判断だろう。私は床に挿してた剣を抜いて、吸い込まれる勢いも使って、一気にグラッパルへと接近した。
「月の舞第二節――」
私はとっておきを出そうとした。けど――
「え?」
次の瞬間、私のバフが、そしてスキルが強制的に解除された。すでに口の中……逃げるなんて出来ない。
「くっ!」
私はせめて一矢報いるために何もかかってない剣で突こうとした。けど次の瞬間、甲高い音とともに、私の相棒はあっけなく折れた。そして私の体もグラッパルの口の中の螺旋状の牙によって錐揉み状態にされた。
「あぁ! うああああああああああああああああ!!」
体がボロボロになっていくのがわかる。そしてHPもどんどんと減っていくよ。やばい……どうにかして回復しないと……けど無理だ。どんどんとグラッパルの奥へと吸い込まれて、それと同時にその牙によって体がザクザクと削られていく。
これがリアルだったら、私の体はとても見てられない惨状になってることだろう。想像したくもない。ここがLROでよかった――と思った。