2021前に進むためのXの問い編 394
スキルを宿さないで剣を振るったのは完全に私の失敗……おごりだった。だってもしも……だよ? もしもちゃんとスキルで剣を覆ってたら……そしてたらこんな目だって貫けたかもしれない。
じっさいどうなのかは分かんない。今やもう遅い。
「つっ!? この!」
私は今度はスキルを宿して剣を振るった。なんでこんな二回も振るう時間があるのかって思うかもだけど、なんかドラゴンが私に何もしないからだ。予測だけど、このドラゴンはブレスを吐こうとしてるから、他に何も出来ないのでは? なんというシングルタスクのドラゴン。というわけで、私は何もしてこないのを良いことに、もう一度今度はちゃんとスキルを宿して振るったわけだ。
けど……まあ当然だけど届く前に先に一気に周囲が明るくなった。そう……ドラゴンがついにそのブレスを吐いたのだ。炎のブレスはこの薄暗かった空間を一気に大量の明かりで包む。そしてそれだけじゃない。一気に熱気がこの空間に広がった。
「あっつ……」
私の今いる場所はドラゴンの瞼の上である。つまりはドラゴンがブレスを吐いたって安全地帯……とかなんとか思ってて高をくくってた。けどどうやらそうじゃない。暑い……めっちゃ暑い。
もう暑いじゃなく、熱いである。事実として、なんかダメージ入ってるし。
「あたってないのにこれって……」
当たらなければどうと言うことはない? そんなのは私の思い込みでした。私は目への攻撃も切り上げて、これ以上ここにいたらまずいと思ってすぐさま移動を開始した。なるべくこの熱気から逃れられる場所……反対側に進むのが得策だろう。流石に、それなら……とおもった。
けど……
「嘘……」
私の視界にはこの空間全部に広がる炎が広がっていた。つまりは逃げ場なんてない……メカブちゃんは? とかおもったけど、その時私の脳内にこんなメッセージが流れてきた。
『プレイヤーメカブのHPが0になりました』
とね。どうやら悪は滅びたらしい。南無……