1994 前に進む為のXの問い編 367
「はあはあはあ……」
疲れた……なんとか蜂をやり過ごすことはできた。でも私はメカブちゃんにはしっかりと言い聞かせるよ。
「いい、私の後ろにいて! 絶対だよ。変な行動取らないでよ」
「はいはい」
全く反省してないメカブちゃんである。オウラさんはよくメカブちゃんの相手してられるね。まあオウラさんにはそんなに逆らったりしないだろうけど。リアルの彼女を知ってればなおさらね。
実際オウラさんはLROの中の方が接しやすい。なにせちゃんと女性だからだ。いや、リアルの彼女が女性じゃないって言ってるわけじゃない。ただそう見えないだけだ。これも失礼か。
とりあえず、メカブちゃんを制御するのはとても難しいってことだ。
「実際奥に行く必要あるの? すでになんか感じるよ」
「それなら鑑定してみてよ」
「そこら中にやってる」
必要なスキルのことはすでにメカブちゃんには話してる。だからすでに視線は感じてる。けど、まだ妖精は姿を表してない。感覚系のスキルにそして鑑定……それで見えるようになるはずだけど……まだ森の浅いところだからなのかな?
「よし、なら」
そう言って何やらメカブちゃんはインベントリから取り出した。それは皿だった。そしてその皿にはどうみてもカレーが白米と添えられてた。匂いが周囲に撒き散らかされてるよ。
「何それ?」
「カレー」
だろうね。そうとしか見えないし。いや、私が聞きたいのはそう言うことじゃないから。なんで今、カレーなんて出したの? てかなんで持ってきた……はいいか。どこでもカレーを食べたくなることはあるよ。それに野外で食べるカレーって妙に美味しいもんね。わかるわかる。
でも今から休憩しようってわけじゃないでしょ。それになんかカレーに対して息を吹きかけてる。「フーフー」ってね。男が見たら可愛らしいと思うだろう光景である。でも私には「何やってるんだろう?」という感想しか出てこない。
「何やってるの?」
「この美味しいそうな匂いで妖精を呼び寄せてるんじゃん」
メカブちゃんは馬鹿なのかな? いや馬鹿だったね−−と思った。