1993 前に進む為のXの問い編 366
「あっ」
そんな声を上げたと思ったら、メカブちゃんへと向かってモンスターが襲いかかる。ほら言わんこっちゃないよ!! 私はとっさにメカブちゃんを後方から突き飛ばして、モンスターの攻撃を剣で受け流す。
クリスタルの森では大体のモンスターが環境に影響されてる。そのせいでその体がクリスタルになってたりする。今回襲ってきたのはクリスタルな身体のでっかいバッタだった。普通のバッタって五センチとかそんなものだろう。まあそれでもリアルでは大きいかもしれない。
でもLROのバッタはそれこそ小型犬くらいの大きさにはなってる。そんなバッタが無防備にクリスタルな草をガサゴソとしてたらエンカウントしてしまったみたいだ。
「びっくりした」
「だから言ったじゃん!」
私は体当たりをしてくるバッタを剣で押し返す。本当はズバッと真っ二つにでもしたいが、クリスタル化してるこの森のモンスターは斬撃が効きづらい。鈍器のほうが通りが良いんだよね。だから私は持ってきた物をジェスチャーコードで手の中に出した。それは道中で拾ってたクリスタル……というかまあこの森ではただの小石である。
でもここのモンスターはこういった小石を投げることで、なんか共鳴反応? を起こす。上手く当たればだけどね。でも小型犬くらいはあるからそこそこ当てやすくはある。私は器用じゃないから、使い慣れてる剣系の武器以外は使えない。だからこうやってサブで敵に効果的な物を使うことにしてる。
何個か投げてると、上手くあたってそれによって甲高い音が森に響く。そうなると、素早く動いてたモンスターの動きが一時的に止まる。その甲高い音がリィィィィィィィィンと響く間、動けなくなるみたいな? まあでもこれってエレメンタルとかには効かないから、メカブちゃんには絶対にエレメンタルには遭遇しないようにいってる。だって私達二人では勝てないのはわかりきってるからだ。この程度のモンスターならまだなんとかなる。その証拠に私は動けなくなってるバッタにスキルをまとわせた攻撃を浴びせてゴリ押しで倒した。
「ふう」
そう思ってると、なんか再び「あっ」とかきこえた。嫌な予感がしてそっちを見ると、今度は小型犬よりもデカいクリスタル化した蜂三体くらいとエンカウントしてた。
「じっとしててって言ったじゃん!!」
「大人しくしてた……よ?」
「嘘でしょ!?」
なんでそんな嘘をつくの!? そこは「ごめんなさい」でしょ!! 孤児院では常々子どもたちに素直になりなさいとか言ってるじゃん。どの口が言うか!! とりあえず蜂はまずい。バッタよりも素早いし、石を投げてもあたりそうもない。それに三体はきつい……私たちは逃げに徹したよ。