1983 前に進む為のXの問い編 356
「妖精?」
「そうだよ。でも気づかない人には内緒だよ」
そう言って小さな妖精が私の周りをふわふわと綺麗な粒子を振り撒きながら飛んでる。鑑定したから、もちろんだけど、鑑定結果が出てる。まあでもなんか一般的なことしか書いてないけどね。
【妖精】
「小さな体に透明な羽を持った人型の存在。とても可憐で美しい。悪戯好き」
ってな感じだ。何か役に立ちそうなことは書いてない。これは私の鑑定の熟練度もあると思う。もしかしたらもっと鑑定の熟練度というか鑑定自体が上位のスキルになってる人なら、もしかしたらもっと有効な事がわかるかもしれない。
「凄い! 本当に妖精を見つけるなんて!!」
そう言ってパーティーの女性が喜んでくれてる。どうやら私に見えた瞬間に、彼女にも見えたらしい。パーティーだからだろうか? わかんない。
「その、一回鑑定してもらっていいですか?」
「うん」
そう言って彼女にも鑑定をしてもらう。
「そーんなに、私のこと探りたいの? エッチー」
とかなんとか妖精が言ってる。予想の1.5倍くらい妖精は綺麗で可愛い。常に光の粒子が羽から出てるのが大きいと思う。羽も透明で、動くことによって光の反射が変わってその色が変わる。
そして髪の毛や瞳も、なんかめっちゃキラキラしてる。やっぱりだけど、お兄ちゃんは私の期待にちゃんと答えてくれてる。私の好み、ドストライクだよ。いや、それ以上を実現してくれてると言っていい。
「あなた名前は?」
「うーん、内緒。だってあなたたちはまだ資格が足りないもの」
「資格が足りない?」
「そう」
妖精は綺麗な鱗粉を振り撒きながら踊るように私たちの周りを飛んでる。あははは、うふふふと本当に楽しそう。
「どうでしたか?」
「あんまり有用そうな結果はないわ。当然の事が書かれてるだけね」
「鑑定でもその資格を満たすことはできないってことでしょうか?」
「どうかな? 私の鑑定もそこまで特別なやつじゃないから……やっぱりみんなに相談した方がいいような。きっと鑑定も上位にしてる奴もいるよ」
「そうですね。ここにこうやって妖精が実在してるんです。みんなで妖精の里を探すのもいいかもしれないですね」
戦いもいいけど、こうやって未知を探究するのもLROの楽しみなはず。こうやって可愛すぎる妖精がちゃんと見えてるんだ。私も彼女も見えてるのなら、多分パーティーのみんなにも見えるはず。
それなら妖精の里捜索に協力してくれる可能性は高い。私たちは妖精と共に、みんながいるところに戻るよ。