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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1971/2746

1971 前に進むためのXの問い編 344

「あんた……強かった……いや……師匠!」


「師匠!!」


ブフォ!? っと飲んでた水を噴き出そうになった。なんだよ師匠って……フィンフィンと回る古臭い扇風機の回転音が夏の昼間にセミの合唱に合いの手入れてる中、頭やられた? と思った。


「いや、ならないし」


「あんなに上手いのに卓球やらないなんてもったいないよ!」


「ああ、もっともっとやろう! あんたとやってたら俺たちもっと上手くなれるような気がするんだ!!」


 その向上心はとても素晴らしいと思う。けど、今僕はデート中だ。なんで貴重なデートの時間を小学生に捧げないといけないんだ。僕だって普通の男子高校生だ。せっかくの彼女とのデートを子供に邪魔されたくないって思いはある。今はまだ、ただのアトラクションの範疇だからいい。けどこれ以上コイツラに関わったらそれはもうデートじゃなく、コイツラと遊ぶ日になっちゃうじゃん。そんなのは嫌だ。


 初めて関わった小学生にデートを潰されるとか罰ゲームだろ。


「スオウだけじゃなく、もっと周りの人達を頼ればいい練習が出来ると思うけどな」


 そう言って優しい声音で僕に絡んできそうな小学生に語りかける日鞠。けどどうやら彼らは日鞠に負けたとは思ってないんだろう。日鞠に対して強い口調、生意気な口調なままだ。


「なんだよあんた」


「俺たちは師匠と話してんだ!」


 コイツラ、日鞠がお前らのサーブとか普通に返してたのおぼえてないのか? 寧ろ僕よりも先に対策してたぞ。まあ日鞠はただ返してただけだ。ラケットをその場に置いて、コーンと返してただけだから、もしかしたら偶然……とかコイツラは思ってるのかもしれない。でも流石にたったの一セットしか戦ってないとしても気づきそうなものだが……途中でわざとミスしてたから、それで今までの行動とかも全部偶然だったとか思ってる? 


 流石にそれだと洞察力が心配になるが……いくら小学生だとしても、全国区の選手なら、対戦相手の事をよく見て分析する……とかしてるんじゃないのか? してない? そういうのはもしかして監督とかの仕事なのか? 


「そうだね。でもね、スオウだって天才とかじゃないんだよ。そして二人だって自分たちの限界とか感じてたでしょう? それでもここら辺では君達が一番強い。だから見下してたんだよね。周囲の人達の話とか聞きたくなかった。


 でも二人は自分たちだけじゃ行き詰まってたも確かでしょう? そこで二人が簡単に強くなる方法がありますって言ったらどうする?」


「「え?」」


 なんか日鞠の話術にハマってる二人。こうやって 洗脳していくのか……とか僕は思ってる。二人は「騙されないぞ」とか「いやいや、そんな訳」とか言ってるが、その興味は隠せてない。


「二人は素直になることです。そしてそうだね。二人は周囲の人に卓球を教えて見るのが良いんじゃないかな? 勿論時間がある時でいいよ。二人にも大会とか練習有るし」


「いやいや、そんな時間俺たちにないよ!!」


「そうだ! 練習しないと他の奴らに遅れるんだ!」


 実際全国区の選手とかめっちゃ練習してる印象有るからね。そこに居るためには、練習を怠るなんて事は出来ないんだろう。こんな小生意気なガキだが、どうやらちゃんと努力はしてるらしい。


「出来るときだけだよ。こうやってここに来てるときとかね。二人が傍若無人に振る舞うからここにはあんまり人が来なくなってるって聞いたけど、それでも来る人は居るでしょう? そういう人に声を掛けて、教えてあげるのです。それならそう労力もないでしょ?」


「そんな……面倒……」


「意味ないし……」


 そう言ってブツブツ文句を垂れる二人。けどそんな二人に日鞠はニコッと笑う。それを見て小学生二人は顔を赤くして顔を反らしてた。おいおい惚れるなよ。お洒落した日鞠は普通にカワイイからね。


「二人は小学生なんだから焦る必要ないと思うな。体もまだ出来上がってないし、体を酷使するよりももっと頭を使ったほうが良いんじゃないかな? 人に教えるってことはもっともっと大好きな卓球を理解できると思うよ。それに、君達の好きな卓球を理解してくれて好きになってくれたら二人も嬉しいでしょ?」


 日鞠のそんな言葉に二人は頷いた。まあこれで僕に師匠師匠と絡んでこないでくれるならありがたい。

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