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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1965/2706

1965 前に進むためのXの問い編 338

「いっくぜぇぇ!!」


 そう言ってピンポン玉が直上に投げられる。くるくるくるくると回るピンポン玉は一瞬だけ空中で停止して落ちてくる。そして手元に来た時にカコン――という音とともに回転が掛けられて一度手前の自陣に跳ねて、ネットを掠るように超えてくる。そしてこちらの台でもう一度はずんだ。その際、回転のせいだろう、僅かに軌道を変えたピンポン玉。その瞬間、生意気なガキがニヤッとしたのが見えた。


 どうしてそこまで見えるのか……まあ僕の目が特別だからだ。だからこそ、僕はちゃんと軌道が変わったピンポン玉に対応してる。そして向こうがニヤついてる間に打ち返した。カコン――という音が響いて向こうのコートで球が跳ねる。


「うお!」


「打ち返した!?」


 慌ててる小学生二人。少し大人気なかったか? てかこんな簡単に打ち返せるとは僕も思ってなかった。いや、この目があるから、打ち返せるとは思ってた。でも上手く台に入るかって別問題じゃん。そこは慣れとかあるだろうしさ。だからこんな上手くいくとは。


 カコンカコンカコン――とラリーが続く。ダブルスは交互に打たなきゃいけないから日鞠の方でミスるかと思ったけど、日鞠は別に勉強だけが出来るようなやつではない。そつなく何でもこなせる奴だ。さすがの日鞠だって、流石に高校生の全国区の選手相手なら、いい勝負が出来るかって言えば流石に厳しいと思う。運動神経は普通よりは良い方だろうけど、毎日部活やって全国に行くほどの人と才能や努力に差がないわけないからね。


 けど小学生なら、まだなんとかってことなのかも。そもそも日鞠はなんとか打ち返してるって感じだ。ほとんどそこにラケットを置いてる感じで打ち返してる。


「お前、どうやってるんだそれ?」


 僕はちょっと強く打ち返してスマッシュを決めた。これで3-3だ。とりあえず小学生たちは焦ってる。こんなに拮抗するなんて思ってなかったんだろう。ストレートで勝てる……その算段が狂ってる。だから二人でなにやら相談してる。その隙きにこっちも話してるよ。


「別に、二人の事はここで何回か見てたからね。癖とかわかってるし、後はボールが落ちてくる所にラケットを置いてるだけだよ。向きがちゃんとしてたら卓球なら力なんていらないよ。コートに入れるだけならね」


「そんな事出来るのお前くらいだよ」


 なんともない……って感じで言ってるが、絶対に他のやつには出来ないだろう。ようは日鞠は奴らの癖や打った軌道を把握して、計算して、どこに球が来るかを把握して先回りしてるってことだ。実際、打った瞬間とかに動いてたら卓球のコートは狭いから間に合わないと思う。そもそもがそんなに焦って日鞠は動いてない。それってつまり……相手が打つ前に既に軌道を予測してるってことだ。


 頭おかしいのかこいつ? そんな事を思ってると、小学生たちが「そろそろ体も温まってきたから本気だそうかなぁ?」とか言ってきた。いやラリーの途中とかからかなり本気だっただろう……とか言いたいが、僕は奴らよりも年上だからね。変に煽ったりしないよ。


 ただ僕も慣れてきた頃合いだから、ちょっと楽しくなってきてるけどね。

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