1962 前に進むためのXの問い編 335
ショッピングモールで昼くらいまで過ごした。お昼はどうしようか? ってことになったわけだけど、ショッピングモールだし、そこにはフードコート的な場所も勿論あった。けどなんか日鞠はなにやらこの周辺にいい場所を知ってるらしい。こんなでかいショッピングモールが出来たら周辺の個人経営の店舗は厳しくなるんじゃないかな?
客をこっちに吸われてしまって、シャッター街とかが多くなるってのはよく聞く話である。まあけどそれも既に過去のことなのか? うまく共存するような仕組みが既にできてたりするのかもしれない。
バスでここまで来たわけだけど、今は僕たちは歩いてる。夏の日差しは強くて、厳しい。だからだろう日鞠もちゃんと日傘をしてる。僕は勿論そんなの持ってるわけもないから太陽の日差しに焼かれながら目的地を目指す。
日鞠だって女の子だから、なにやらオシャレなお店にいくのかな? とか想ってたら、なんか普通の……というか年季が入ってる様なお店だった。まさに街の定食屋さんみたいなさ。そんな感じ? お昼時だからだろう、そこそこ人もいる。
地元の人に好かれてる様なそんなお店なんだろう。お店の中も年季を感じる様な感じだ。何時の時代だよってポスターが日に焼けたまま飾ってあったりするしね。お店は中年の男性と女性が切りもしてるようで、入ってきた僕たちを奥の方の席に案内してくれた。
そしてすぐにお冷が出てくる。お店の中はひんやりとしてクーラーが効いてる。そしてお冷も冷えてて美味しかった。
ぐううう――とここに入ったときから美味しい匂いが周囲からしてるせいで、お腹が耐えられなくなったらしい。ちょっと恥ずかしい。けどまあずっといっしょに育ってきた日鞠に聞かれるくらいは全然大丈夫。
「ふふ、ここのはどれも美味しいよ」
そう言ってメニューを広げてくれる。それを二人で対面で見る。日鞠は僕の方が見やすいように正面を僕の方に見せてくれる。そうなると対面だから日鞠の方は逆さまに見えてる。けどどうやら日鞠はここに何度か来たこと有るような事を言ってたから、多分もうメニューを把握してるんだろう。
優秀な日鞠は、なんだって一回見たらだいたい覚えるやつだ。だからこれでも問題なんてないんだろう。
「なにかおすすめとか有るのか?」
「そうだねー」
そんなこんなで目の前には昼飯が有る。僕は日鞠がおすすめといった生姜焼き定食にしてみた。肉がでかいね。たしかにこれはおすすめされてもおかしくない。日鞠は魚の煮付けみたいなのを食べてる。らしいやつである。てかこのオシャレでもなんでもなく、ただ純粋に舌を唸らせにきてる感じのお店……嫌いじゃない。
オシャレなんかには振らなくて、味で勝負してます……的なさ。実際ちゃんと美味しかった。けど以外だったのが会計だ。こういう個人経営の所ってそれこそ現金だけ……ってのが普通だと思う。だってクレジットとか電子マネーとかきっと手数料とかが必要になって個人経営のお店にはそれが負担になる――みたいな事を聞いたことが有る。
でもここはスマホで簡単に支払いができた。なんかさっさと日鞠に支払われたけど、ちゃんと後でそのお金は返すつもりだ。本当だよ。そこは彼氏としてね。ちゃんとしたいじゃん。
会計の時、ここの女将さんがなにやら日鞠に耳打ちしてた。きっとなにやらここのことにも日鞠はかかわってるんだろうなって思った。本当にどこにでもかかわってるやつである。