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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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空を飛ぶ船

 僕達はエイル達の言葉を受けいれて、二人と別れた。そして次に目指す目的の地へ行くために港町へ行くことに。そこから出てる乗り物がノーヴィスへと導いてくれるらしい。

 それは空を飛ぶ船なんだってさ。


「僕達はいかない」


 その言葉に僕は「そっか」と答えた。まあしょうがないさ。自由こそがLRO、それを僕の勝手な都合で縛る事なんて出来ないよ。

 リルレットとエイル、二人とはここで一旦お別れだな。


「いかない……けど、勘違いするなよ」

「何を?」

「私達はまだまだ他の人達に比べて足手まといと思うからいかないんです。だからこの間に経験値を積みますよ。一回り二回り大きく成って見せます。

 だから別にいかないって言っても一時的にって意味ですよ。

 必要があれば呼んでください。その時は必ず駆けつけます」


 なるほど、二人は自身の実力アップにちょっと専念したいって事だね。確かに二人は、テッケンさんやシルクちゃんに比べたら経験浅いからね。

 今のメンツに自分達は必要ないと思ったのかも知れない。でも、それでもいつかの時の為に自分達を磨いててくれる……それは嬉しいことだ。


 仲間はどこでだって仲間って事だな。僕は照れくさそうにしてるエイルと、握り拳作って気合い満々のリルレットを見て、感謝の言葉を贈る。


「ありがとう。今回は本当に世話になったよ。いつかまた――って、荒事じゃない時に会えたら良いんだけどね」

「そうですね」

「ふん、仕方なくじゃなきゃ、お前になんて会いたくない」


 僕の素直な言葉に、エイルの奴はヒネクレた返ししかしない。たく、本当に素直じゃない奴だ。でもそんなエイルの言葉をリルレットが補完してくれた。


「もうエイルは……本当はスオウ君とは友達に成りたいって思ってるんですよ」

「なっ!? そんなんじゃないよリルレット!!」


 慌てふためいてリルレットに向かって拳を回すエイル。でも殴るに殴れないから、いつまでもその拳は宙を回ってる。

 なんか面白いから、僕はからかうようにこう言ってやろう。


「あれ? 僕はもうとっくに友達だと思ってたけどな」


 すると乗ってきてくれるリルレット。


「ふふ、良かったねエイル」

「お、おまえ等!!」


 困ったら怒り出すエイルは面白かったよ。まあ本当に僕と友達に成りたかったのかは定かじゃないけど。取り合えず、エイルの慌てふためく姿に大満足だ。

 いっつも僕に毒舌ぶつけてたからな。これくらい許されるよね。


「えっと、それじゃあフレンド登録しましょう。そしたらいつでも連絡が取れあいますから。ほらエイルもウインドウ出して」

「ちっ……特別だからな」


 思い立ったが吉日なテンションのリルレットに促されて、エイルもウインドウを開く。もの凄く渋々そうで、しかもずっと僕を睨んでる。

 でもそんな視線も、実は照れてるからとか思えば、モブリの愛くるしい姿と相まってどうでも良くなるな。


 僕がそんな風にして、エイルの殺意の避け方を考察してると、頭に響くメールの受信音が鳴り響いた。僕もウインドウを開いてメールを確認。

 二通届いたメールはそれぞれ、リルレットとエイルからのフレンドのお誘いのメールだった。


【リルレットさんが貴方とお友達に成りたいと願われてます。フレンドの申し込みを受け入れる場合は、OKをポイントしてください】


 こんな感じのメールだ。これでOKを押すと、メールが返信されて、受理の有無を伝える。そして晴れてフレンドリストに登録されるって訳だ。

 僕は迷わずにOKを……いや、ここでエイルにだけNOにしてみるのも面白いかも知れないな。


「おい、なにを面白がってんだ?」

「へ? べべべ別に面白い事なんか考えてないぞ」


 人の表情を簡単に読むなよな。焦ったじゃないか。そんなに分かりやすい顔をしてるかな? 


「スオウ君、イタズラ心でエイルにNOを返すのは無しですよ。エイル泣いちゃうから」

「泣かないよリルレット!!」


 具体的な内容までバレてる――じゃなくて、泣くって確かにそれじゃ僕が酷い奴みたいに成っちゃうな。酷いのはいつも口悪いエイルの方なのに。

 まあ、今も全力で顔を赤くしてリルレットに詰め寄ってるエイルの野郎が見れたから今日は十分かも知れない。そう思う事にしよう。

 だからこう言いながら期待されてる方をタッチする。


「ちゃんとしますよ。二人には感謝してるんだから」


 すると直ぐに頭に着信音が響いたのか、二人がウインドウを確認する。これで僕たち三人はフレンドだな。これで一目フレンドリストを確認するだけで、その人がLROにログインしてるかどうかとかが分かる。


 僕は確認の為にフレンドリストを見ててちょっと思ったことを言ってみる。


「そういえばさ、他の人達とは交換しないの? 僕だけで良いわけ?」


 すると意外な答えが返ってきたよ。


「他の皆さんとは既に交換済みですから、大丈夫ですよ」

「そうそう、お前が事実上最後だよドベ」


 ドベ……予想以上にその言葉は僕の心に深く突き刺さったよ。てか、既にみんなと交換済みだって? いつの間に?


「簡単に出来るからね。あの戦いの直ぐ後に僕とシルクは交換したよ」

「と言うか、スオウ君がまだだったのが驚きです。二人との関係は私達より長いじゃないですか。それが何故今なんですか?」

「何故と言われても……」


 まさかシルクちゃんに詰め寄られる日が来るなんて。可愛いから万事OKだけど、その質問の答えはないな。なんて言うか、時々出会って冒険する――そんな感じだったからだとは思うけど。

 するとそこで、アギトが得意気に僕の事を分かった風に言いやがる。


「別に理由なんて無いんだよシルク。ただ単に忘れてただけだろ? スオウはいつだって友達意識を作って、自己完結するんだよ。

 離れてたって友情は変わらないっていつまでも信じ続けるタイプだから」

「それのどこが悪い」


 友情は不滅だろ。少なくとも僕はそう思ってるね。それに友達って自然になるもんじゃん。僕はわざわざ「友達になってください」とも「友達だよね?」って確認もしないんだ。


「スオウ君には良くも悪くも、ここはリアルと変わらないって事なのかな? でもほら、リアルでもメールアドレスの交換とかは普通に友達同士でしますよね?

 それと同じですよ。友達だから~じゃなくて、この人といると楽しいから、この人ともっと仲良く成りたいから、だから次の繋がりを保ちたい。

 そう思える相手なら、迷わず登録したほうが良いですよ」


 なるほどね。シルクちゃんの言葉は胸に響くな。セラとかエイルのグサってくる感じじゃなく、もっと柔らかくて暖かな感じがさ。


 こうタンポポの綿毛に寝転がる様な? 風に飛ばされてもふわふわゆらゆら気持ち良いんだ。シルクちゃんの言葉には自然と納得できる何かがあるよ。

 まあ人間性の違いだな。


「肝に銘じておくよ。じゃあ早速フレンド登録しようぜセラ!」

「は? あんた私と仲良く成りたいわけ? 冗談はやめてよね」


 むむむ……折角人が爽やかな笑顔とともに言ってやったのにその態度は何だ。失礼しちゃうぜ。僕が日頃の鬱憤を水に流してフレンドリストに加えてやろうとしたってのに、なにその態度。

 一瞬ビクって反応したように見えたのは、ただ話を振られて驚いただけか? そっぽを向いたままのセラ。でもここで引いたらまず今後了承を得る機会は無さそうだし……今後を考えると一応はこいつともフレンドに成っとくべきなんだよな。


 しょうがないから、今度は理路整然に攻めてみよう。今後の為にも必要って分かればフレンドに成ってくれるかも知れない。


「よく考えろセラ! 今後僕たちは一緒に冒険をするわけだよ。それはいつまでも続くか分からないけど、取りあえずは五日は確実だ。

 その間、何が起きるか分からないし、連絡取れる様にしといた方が良いじゃん。目的の為に割り切れよ!」

「目的? そうなんだ。はっ……死んでもヤダ」


 死んでもって言われた。スゴい嫌われ様だ。なんかもう分からなく成ってきたな。僕はセラとの距離間が掴めないよ。

 これだけ僕の頭を悩ませる奴は珍しい。日鞠とセツリ、そしてセラで三人目だな。日鞠はその存在に頭を抱えるけど、セラの場合は接し方だから大変だ。


 なんか一喜一憂するじゃん。毒舌が来たり、共闘したり、と思ったら死ぬほど嫌われてたり……どこ? 僕のセラとの立ち位置はどこだ?

 傾かないでバランスを保てる天秤の重さを教えてほしい。

 僕がセラの視線に殺されそうに成ってると、横から無邪気な声が飛んできた。


「はいはい、私はスオウ君とフレンド登録します」

「あ、アイリ?」

「何ですかその反応は? セラは良くて私はダメなんですか?」

「いや、別にそういう訳じゃないけど……ほら、アイリって王女様な訳だし……立場とかあるのかなって?」


 やっぱり友達にも厳正な審査が必要とかさ。投票とか行われないよな? 王女だからこそ、気軽にんな事言えないよ。

 けどアイリはとっても気軽だ。


「大丈夫ですよ。友達は自分で選ぶものですからね。そこは誰にも文句は言わせません」

「そっか……じゃあまあ、よろしくお願いします」


 そこまで言われたら逆に断れないし、別に断る理由もないから、届いたメールにOKを押して返信する。結局セラとは出来なかったな。

 まあいいか、テッケンさんとかシルクちゃんは交換してるみたいだし、それで妥協しておこう。



「じゃあ、私達はそろそろ行きますね」


 やることもやったタイミングで、リルレットがそういう。

「行くってどこに?」

「まあ遠くに行くわけじゃないですよ。しばらくはアルテミナスにいます。元々目的があってここに来たわけですしね。

 クエストやミッションをこなします」

「そっか」


 そうだよね。目的……目的なかったらあんな危ない時期にわざわざ危険を冒してまでこないよな。それに友達は僕たち以外にだっているだろうしね。そこら辺のつき合いも大事だよ。

 まあそれを言ったら、テッケンさんやシルクちゃんにだって居そうだけどさ。鍛冶屋はまあ……心配なさそうかな。


「ま、そういう事だから、せいぜい早死にしないようにしてろよ」

「うるせぇ、誰が死ぬか。ちゃんと生き抜いててやるよ」


 エイルは最後まで嫌みを垂らして、部屋から出ていく。そんなエイルの言葉に困った顔をするリルレットは礼儀正しく「それじゃあお気をつけて」てと言い、エイルの後を追いかける。



 二人の足音が消え去った所で、テッケンさんが進み出て気合い一発こう言った。


「では、そろそろ僕たちも出発しようじゃないか。もう準備は整ってるよね?」


 テッケンさんの言葉に僕達は頷く。まあ元々そのための三十分間だったわけだしね。いつ出発しても言いようにしてきた筈だ。

 でもここで僕はずっと聞きたかった事を聞く。


「そう言えば、どうやって行くんですか? 確か地図で確認した所じゃ、ノーヴィスってアルテミナスの反対側ですよね?

 これから幾ら早く走っても着かない様な……」


 アルテミナスからノーヴィスは相当遠い。反対側なら、一日走っても着かないよ。貴重な時間が移動だけで相当潰される事になる。

 それはちょっと困るよな。するとテッケンさんは問題ないと言わんばかりに胸を張ってこう言った。


「それは問題ないよ。ノーヴィスには飛空艇で行くからね」


 飛空艇? そんな物このLROにあるのか? って思ったけど、そう言えば人の国の時は首都で見たな。時々飛んでたよ。

 でもアルテミナスに来てからは見てないような気がするけど……それに街の地図にも飛空艇が停泊出来そうな港なんて無い。


「飛空挺はいいですけど……アルテミナスのどこにそんな港ありました?」


 僕のそんな失礼な言葉に、誰よりもアルテミナスの事を知ってそうなアイリが丁寧に答えてくれる。


「ここじゃありません。アルテミナスの周りには、ここを囲むようにそれぞれ中規模な町があります。その一つの港町に飛空挺お発着港があるんですよ。

 三大国はそれぞれ飛空挺で結ばれてますよ。知りませんでした?」

「知りませんでした……なあアギト」


 飛空挺――んな便利な物があるなら何で教えないんだこの野郎。移動手段がLROは乏しいと思ってたけど、あるじゃん便利なのが。

 まあこれだけ広いLROで、たった三国しか結んでない飛空挺は決して十分とは言えないのかも知れないけどさ。それでも使える物は知っておきたいじゃん。

 僕の視線にアギトはケロッとして言いやがる。


「別に教えなかった訳じゃないっての。だってアルテミナスには強制的に連れてこられた感じだし、言う暇も必要も無かっただろうが」

「まあ、それはそうだけど……」


 なんだか僕は知らない事が多すぎる気がするな。良くこれで今までやってこれたよ。もうちょっとLRO自身に目を向けた方が良いのかも知れない。

 流石にそろそろ恥ずかしいし、みんなも煩わしいよね。テッケンさんやシルクちゃんは優しいから、ついつい甘えがちに成ってるけど、それじゃあダメなんだ。

 お世話に成りっぱなしなのに、煩わしくさせちゃ悪い。


「それじゃあその飛空挺に乗れば、直ぐに着けるってことですよね?」

「まあ直ぐにって訳じゃないよ。でも空の旅が出来るから、初めてなら退屈しないさ」


 なるほど、流石テッケンさん。イヤな顔一つしないよ。空の旅はワクワクするな。いつの時代にだって人は空を見上げるからね。

 でも、そう言えば移動手段ってもう一つあったような? 確か魔法でさ。


「そう言えば転送魔法は使えないんですか? それだとあっと言うまじゃないですか」


 うんうん、一番てっとり早い方法の筈だよね。だけどそれにはシルクちゃんが直々に答えてくれる。


「それは今回は止めておいた方がいいです。それに超長距離の転送は一人じゃ出来ないんです」

「え? 何でですか? 確か転送屋とか居ますよね?」


 一人で出来ないんじゃそいつ等どうやってんの? それに今回はって所も分からないな。


「転送屋の人達は複数のキャラクターを作ってる場合が多いです。超長距離の場合は受けて側が必要に成りますから、サブキャラをただその場所に立たせてて、そこに飛ばすって方法ですね。

 受けてはフレンドリストに登録されてるなら誰でも良いんですけどね。他の人じゃログインしてないと出来ないし、都合だってあります。

 だから自分のサブキャラを使う場合が多いんです。国の中での町から町への移動なら、一回行った場所ならそんな必要無いんですけどね」

「なるほど、色々条件着いてるんですね」


 ただ便利な魔法は無いって事か。色々と条件を付けて、それでバランスを保ってる訳だよな。


「でも、それなら港町には直ぐに行けますね。シルクちゃんの魔法でちょちょいと」


 だけどそんな僕の言葉に、シルクちゃんは申し訳なさそうに首を振る。え? なんで?


「え~とそれは止めた方が良いです。私達は宛もないクエストを探すんですよね? それならどこで何が発生するか分かりません。

 だからなるべく、地に足を着いて目指した方が良いんです。LROのクエストいろんな発生の種類があります。特定の場所や個人に話しかけて始まる固定の物もあれば、町で拾ったハンカチからクエストに繋がったりもする偶発的な物まで様々です。

 そのクエストが何か分からないけど、鍵がスオウ君の持ってる金魂水なら、何かが起こる可能性はあるから……」


 最初はハキハキと喋ってたのに、最後はちょっと自信なさげに視線をさまよわせるシルクちゃん。堂々としてて良いのに、ちゃんと納得出来る説明だったよ。

 なるほどね、別に超長距離転送も出来なくは無いけどやらないのはそのせいか。どこで何が起きるか分からない。それは確かにそうなのかも。


 実は僕が暗黒大陸でテトラと会ったとき……いや、この金魂水を手にした時からクエストは水面下で動き出してるのかも知れない。

 LROも最近ごちゃごちゃ成って来てるからさ、どこまでが本当にゲーム的に動いてるのかよく分からないんだよね。


 あの時のテトラはイレギュラーだったのか、システム的にはああなる仕様だったのか……僕には分からない。僕は丁寧な説明をくれたシルクちゃんを見つめて「そっか」と言った。


「じゃあ、ある意味何かが起こった方が良いわけだ。何かが起こればそれの先にクエストの断片があるかも知れない」

「本当に繋がりがあるかは結果が出るまで分からないけどね。起きるかどうかも分からないんだから、期待はしないほうがいいよ。

 起きたらラッキーくらいに思ってないとね」

「そんなもんですか……」


 まあ確かに、そんな都合良くは出来てないよな。たまたま町で拾ったハンカチが、狙ったクエストな訳がない。そんなもんだ。


「今は取りあえずノーヴィスに行くことだよ」

「そうですね。それじゃあ、楽も出来ないことですし急ぎましょうか?」


 僕達はパーティーを組んでこれで準備万端だな。僕とセラとシルクちゃんにテッケンさんに鍛冶屋。殆どいつものメンバーだ。


「ではお気をつけて。情報が入り次第メールしますね」

「はい、お願いします」

「スオウのバカを頼みますテッケンさん。それとセラ達も。あんまり無茶ばっかするなよ。命あってのものだねだ」

「わかってるよ」


 付いてこれないアギトは案外心配そうにしてる。まあ今まで無茶ばっかりしてたからな。それにアギトだってガイエンを助けたいと思ってるのなら、ここでじっとしとくのは辛いのかも知れない。

 まあでも、ようやく一緒にいられるんだし、邪魔者はしばらく消えとくさ。イチャツく場合じゃなくても、二人でいるのは大切だよ。

 テッケンさん達もそれぞれに言葉を返し、僕達は城を後にする。目指すは港町『ノックス』だ。



 街道を順調に走り、ものの数十分でノックスには到着出来た。ある意味拍子抜けするほどアッサリだ。ノックスは港町だけあって海が目の前に広がってるよ。

 なんだか家が海に浮かんでる所もあるような……いや、そういう風に建てられてるのか。鼻を擽る塩の香りと、耳に届く波の音が海を感じさせてくれる。

 さて、港はっと……


「こっちだよスオウ君」

「ああ、はい」


 流石みんなは迷わず港の方へ歩きだしてた。僕はわざわざ探さなくても付いていくだけで良いみたいだ。飛空挺の発着場は、ただの漁港とは違って随分立派だった。

 スーツ着た人や、ちゃんとした制服のお姉さんも居るし、国営なんだねって感じだ。て、みんな受付を通らずゲートを潜ってるけどさ……それって良いの? 僕もみんなを見習って怖そうな警備員(というか軍の人)の横のゲートを潜ろうとしたとき、何故だかビービー警報が鳴った。


「ええ!?」


 何故? みんなは素通りしてたじゃん。


「何やってるのアンタ? もしかしてパス発行……されてるわけないわよね。ならちゃんとお金払ってチケット買ってきなさいよ」


 パスってなんだよ――と聞こう思ったけど、それよりも筈かしかったから先にチケットを買いに行く。受付のお姉さんの爽やかな笑顔がなんだか恥ずかしい。


「六千ガルドに成ります」

「六千って高いな~」


 殆ど使ってないからあるけど……成るほど、初心者が走る羽目に成るわけだ。僕はチケットを購入して、今度こそゲートを潜る。

 すると丁度良いタイミングで飛空挺が空からやってきた。案外船っぽいフォルムのままの飛空挺は、水しぶきを高らかにあげて着水しながら滑るように港へと入ってきた。


「うおっ! これが……飛空挺」


 思ったよりもずっとデカいな。これが僕達を新しい冒険の舞台へ連れてってくれる船。

 第百九十六話です。

 いよいよ飛空挺へと乗ってノーヴィスへ。やっぱり冒険には飛空挺が必要ですよね。空を駆ける夢の乗り物。それには一度乗ってみたいじゃないですか。てな訳で飛空挺です。

 まあ広すぎるLROだから流石に移動が不便だからと言って、何もないわけじゃないって事です。

 てな訳で次回は火曜日に上げます。ではでは。

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