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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1959/2713

1959 前に進むためのXの問い編 332

僕はとりあえず日鞠に奢ることに成功したよ。日暮里さんが出してくれたアクセサリーを二人分買ってそれぞれをつけた。とりあえず僕のは財布にね。日鞠の奴は首元に掛けて上げた。まじまじと首元とか見ると、やっぱり女の子なんだなって……その鎖骨とか見て思った。


 そして日鞠は上機嫌になってくれた。いや、今日は最初から上機嫌だったけどね。それから次はどこに行くのかな? とか思ってたけど、まだ僕たちは動いてない。とりあえず僕はほかのフリーマーケットを物色してるわけだけど……日鞠は日暮里さんと共に小物の販売をやってる。なんで? と思うかもしれないが、あいつはそういうやつだ。


 彼氏を放っておいて、しかもデート中に何を……って感じではある。優先順位を考えさせられるよね。でも僕は実際、そんなに嫌な気持ちになってはない。だってやっぱりこれが日鞠だ。


「ちょっとだけ、十分だけお手伝いさせてください」


 っていって、日鞠は行った。本当に良いものだと思ってるから、ちゃんと売れて欲しいって日鞠は思ってるみたいだ。まあ十分ならね。普通は十分程度のお手伝いで何かが変わる……なんて無いだろう。ずっとここで店番してるであろう日暮里さんにちょっとお手入れとか息抜きとかして貰う程度しか出来ないと思う。


 一般的にはね。けどそんな一般的な事で終わるわけないのが日鞠である。とりあえずいくつかの小物を手にとって、日鞠はこのフリーマーケットに来てる人に声をかける。そしてまずは挨拶から、ちょっとした話を始める。僅かな会話でスルスルとその人の情報と心を開かせて、そして持ってきた小物と、日暮里さんの売り場をアピールする。


 ちゃんと商品の詳細とかも話して、興味をそそり、店の売り場まで誘導するっていうね。その御蔭か、ものの数分で日暮里さんのお店の周りには女性客が集まってる。実際物はよかったからね。ただその前に座ってる彼女自信が負のオーラというか……なんか話しかけにくいオーラを発してたのが客が居なかった原因だ。


 でもそれも人がいたらなくなるみたい。実際は紛れるって言ったほうがいいのかもしれない。彼女の負のオーラがなくなったわけじゃないからね。でも誰か一人でもいたら、そこに近づく敷居が低くなるっていうのは有ると思う。


 行列ができてる店に人が吸い寄せられる様な現象といっしょなのかも。とうの日暮里さんはてんやわんやしてるわけだけど、さり気なく日鞠が間に入ってうまく商売を回してる。


 そして実際、十分くらい手伝ったくらいで、日鞠は戻ってきた。


「大丈夫なのか?」


「大丈夫だよ。別にお金のやり取りは直接発生してないからね。お客さんが気に入ったのを選んで、タブレットで決済するだけだし。流れができたから、きっとすぐに売り切れるよ」


 確かに今や日暮里さんのお店はこのフリーマーケットの中心みたいな感じになってる。こういう事をさらっとやってのけるんだから、こいつは日鞠だなって思う。凄いとか大したやつとかじゃない。そんな言葉では収まらないから日鞠だなって思うんだよな。


 そういうわけで僕たちは再びデートを再開させた。今度は僕から勇気を出して手を取った。

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