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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1955/2705

1955 前に進むためのXの問い編 328

(気になって仕方ない)


 僕たちは今、バスに乗ってる。なんか日鞠が行きたいところがあるらしい。翌々考えたら、デートとかなら男がどこに行くかとか……プランを考えた方が良かったんでは? とか思った。でも直前だったからね。これが数日前から言ってくれてたら、僕だってそのくらいの気の回し方はしたよ。それこそ夢の国に行くとか……ね。


 でも今日は完全に日鞠にお任せになるような気がする。せめてどっか……それこそその休憩するときくらいは自分のお金で……


(き、厳しいかな?)


 財布の中身やら残ってる電子マネーの残高、それに預金とか考えるけど、なかなかに厳しいかもしれない。それに僕はそういう……ね。そういう休憩所の値段ってよく知らないし。男子高校生にも優しい値段なら良いんだが。


(いやいやいや、あれはきっと日鞠のやつの冗談だし。期待してるわけじゃないから)


 僕はバスの中で挙動不審になってる。それを見て日鞠はなんかくすくすしてるけど隣座っててその手は常に僕と繋がってる。流石に恥ずかしかったんだけどね。でも今までは彼氏彼女の関係とかでもなかったからそれをやめさせる事ができたんだけど……彼氏彼女の関係になった今、これを振り払う明確な理由を持ちえなかった。


 有るとすれば「恥ずかしいから」とかいうのしかない。でもそんなのは簡単に覆される。だって日鞠がちょっと悲しそうに「私と手をつなぐの嫌なんだ……彼女なのに……」とか言われたら断れないじゃん。


 なので今日一日はずっとこの状態らしい。そういう風に言われたら。まあ日鞠が楽しそうだからいいんだけどね。


「今年はたくさん遊びたいね。去年は大変だったし」


「まあね。去年は入退院を繰り返してたからな」


 あんな夏は流石にもうないと思う。いや、思いたいね。バスの中は快適で日鞠と喋ってる時間はとても心地良い。まあけど日鞠は知り合いが多い。時々声かけられる。その度に「彼氏」って紹介されて恥ずかしかった。おばさんやおばあさんとかは「あらあら、まあまあ、日鞠ちゃんもお若いねぇ」とか言ってくるしね。


 それに女性ばかりじゃなく、男性にも時々話しかけられる。それこそスーツ姿の男性とかさ……アンタが普通に女子高生に声を掛けてたら事案だからなって思っちゃうんだけど、実際ただの世間話をちょっとする……程度だからね。なんか僕を値踏みするような視線をその度に感じてちょっと……みんなきっと日鞠の彼氏がどんなやつなのか、大丈夫なのか……親目線とかになってるのかもしれない。


 そんなこんなただのバス移動でも沢山の知り合いを見せつけてくる日鞠。バスを降りてからも、ちょっと歩くと知り合いが声を掛けてくるっていう、もうこいつ実は全人類と知り合いなんじゃない? ってレベルの日鞠にビビった。


「お前も大変だな」


「私は沢山の人にスオウの事を紹介できて嬉しいよ」


 そう嬉しそうに日鞠は言うけど……なんかこれってめっちゃ公言されてる感じだから、外堀を埋められてる……というか、皆が日鞠を好きだからこそ、監視の目があるっていうか……分かれたりしたら僕はこの街に、いや下手したら日本にいられなくなるんじゃないかって震えてきた。

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