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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1926/2701

1026 前に進むためのXの問い編 299

表彰式が行われる。花の都であるレスティアには今まさにその名にふさわしく大量の花びらが舞ってる。リアルでこんなことしたらその後の掃除がめっちゃ大変……とかあるだろうが、どうやらこの花びら、実態ではないらしい。演出としてテア・レス・テレスがやってるんだろう。そして一位になった僕はパレード用のゴンドラみたいなのに乗せられて表彰式の会場まで連れられてる。勿論僕だけじゃなく、三位までの選手が一緒だ。そしてそのゴンドラの後ろにはそれぞれの機体がこれまた見やすいようになってるゴンドラに乗せられて、更には飾られてる。


 さっきまでのレースの傷跡とかもすっかりなくなって新品同様になったヴァレル・ワンが一緒に運ばれてるよ。やっぱり上位を取ったヴァレル・ワンを皆もみたいだろうという配慮だろう。というか、そもそもがヴァレル・ワンを喧伝するためのレースでもあるわけだしね。


 てか手を振るとか恥ずかしいんだが? というか……


「ほらほらスオウも早く」


「いやいや、さっきから一応チャレンジしてるじゃん。その度に……」


 僕は会長に言われたからとりあえず座ってた一位の椅子と書かれた椅子から立ち上がって手を降ってみる。するとあら不思議……さっきまで「ワーワー」やら「キャーキャー」言ってたのに、皆さん一様に「ブーブー」と言い出すんだ。お前らその息のあいようは何なの? おかしいだろ。てかレスティアにはそれなりにたくさんのNPCが居るはずだぞ。その人達まで実は僕を嫌ってるのか? ちょっとショックなんだけど……プレイヤーに嫌われるのは仕方ないと諦めることも出来る。でもNPCの皆さんとは良好な関係を築いてたと思ってたんだけど!? 


 てかさっきからこの調子なんだから、僕はただもう椅子に座ってるだけでいいじゃん。針のむしろなんですけど……いや覚悟はしてた。めっちゃここでは嫌われてるってわかってるし……それに……


「なんでお前もそんな作り物めいた顔を貼り付けてるわけ?」


 僕は小声でぼそっと会長にそういうよ。さっきから会長の表情が一切変わらないんだよね。まるで昔のゲームの3Dモデルで、元々作ってた顔を表示してる……みたいなさ。するとなんか口を動かさずに会長の声が聞こえてきた。


「まだ私たちが仲直りしたと世間に知らせる訳にはいかないでしょう? 私達は一応は対立してる立場なんだから」


 そういえばそうだったね。つまりはこの作り物めいた表情も、僕が一位になったから、会長が仕方なく接待してる……という体と言う訳だ。そのせいでさらにヘイト買ってる気がするけどね。でもそれらな……と思ってちょっと思いついたことをやってみる。


「これも優勝者の特権ってことでいいよな?」


「え?」


 そう言って僕は会長の肩を掴んでこっちに引き寄せた。会長の髪が顔にあたってちょっとくすぐったい。なんかいい匂いもするし。めっちゃ距離が近くなる。というかゼロ距離である。肌が触れ合ってる。その瞬間レスティアに居る全ての人達が「ぬああああああ!?」とか言ったような気がする声が上がったよ。


 やばいな……反応が僕が思ってた以上だった。これは襲撃に備えたほうが良いかもしれない。ちょっとしたいたずら心だったんだけどな……

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