1923 前に進むためのXの問い編 296
「くっ……」
アギトからどんどんと離されていく。一応前には進んでるんだけど……その歩みはハッキリ言って遅い。それこそ歩いたほうが早いんじゃないかってレベルだ。なにせ嵐天武装をほぼ防御の方に振ってるせいだ。
でもそのくらいしないとこの膨大なエネルギーの中ではヴァレル・ワンが耐えられない。ヴァレル・ワン自体のシールドを残してたらまだ違ったかもしれない。けど、僕のヴァレル・ワンにはそんなのない。
「こんなのいらない!!」
とかいきがって積まなかったのを今更後悔してるよ。勿論ヴァレル・ワンについてるシールドでも防ぎ切るなんてのはこの攻撃は不可能だ。だってシールドの想定を上回る攻撃なのは確実だから。
でも、気休めにはなるし、それそこ三位一体みたいに前方にだけシールドを集中させるとかしたらまだ持つはずだろう。まあ無いものの想定をしたところでなんの意味もないわけだけど……てか地味に三位一体の方が前に出てるんですが……でも向こうもアギトに追いつくほどにスピードを出せてるかといえば、そうではない。まあ僕よりはスピード出てるけどね。
全てをなげうって自身すらも燃やして進んでるみたいなアギトがおかしい。
(でも待てよ」
アギトがその炎をたぎらせながら前に進んでるせいというか、おかげか、このエネルギー波には波というか、分割というか、そういうのがされてる。まあ真っ白いことに代わりはないんだが……アギトはかなり強引に進んでる。そうなると、ぶつかってるエネルギーがそこで分断というか割れたりするわけじゃん。てかそのせいで、こっちにアギトが分断してる分のエネルギーが回ってきてる気がする。でもつまりは完全な面になってるわけじゃないってことだ。エネルギーの中でも、その濃さというか、濃度に差がある。
アギトのせいでこの強力なエネルギー波は外からは見えない内部で複雑に分かれてしまってる。それを把握することが出来るのなら、ただまっすぐに迫ってくるという流れだけじゃなく、膨大なエネルギーの中でも様々な大小、濃い薄いのエネルギーの流れがあるのなら……ソレを見極めることで、わずかでも楽に移動できる場所があるかもしれない。
それこそ大波に人が乗るように……
「出来るか? いややって見せる!!」
僕はこの眩しい光の中、目を見開いて、このエネルギー波の流れを見極めようとする。