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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1920/2701

1920 前に進むためのXの問い編 293

僕は三位一体の後ろについた。絶対にこれ、いまこれを見てるプレイヤーたちがブーイングしてるのが目に浮かぶ。卑怯なことしやがってとか絶対に言われてるよ。でもこれって普通にやることだからね。僕はそんな他人の視線も声も気になんかしない。目的の為に、一番勝率が高いことをやるだけだ。


「ん?」


 なんか羽の部分からチンアナゴみたいなのが出てきた。そしてそれがカシャカシャと動いて、こっちをむく。そしてバババババと撃ってくる。まさかそんな機能があるとは。確かにこの三位一体……三位一体してるからメインとして操ってる奴以外はやることないだろう。だからそれぞれに役割を振っててもおかしくはない。


 だって合体ロボに乗ってる五人組のヒーローとか、アレって全員で別の部位とか動かしてたら絶対にまともに動けないじゃん。メインの一人が動かしてるんだと思うんだけど、そうなると後の四人って不要だよね。けど動かすこと以外に役割があれば不要なんて言われなくて済む。


 そのためにきっと後の四人はレーダーを監視したり、それこそ今みたいに銃口のエイム担当になったりしてるんじゃないだろうか? まあスーパーヒーローの乗る合体ロボットにしょぼい遠距離武器なんてなかった気がするけどね。


 でもこの三位一体したヴァレル・ワンはきっと残りの二人がこの出てきたチンアナゴ……もとい銃口を制御してるんだと思う。後方に弾をばらまくって感じじゃなくて、ちゃんと狙って撃ってきてるからね。


「この程度なら――いける!!」


 僕は避けない選択肢をした。今の僕は嵐天武装だ。それならば避ける必要性はない。それこそ風帝武装よりも防御力もある。まあ防御力というか、そらす力的なものだけどね。気流を乱れさせて当たらなくすることくらい嵐天武装なら容易だ。


 さっきからババババババと撃たれてるが、僕には一つも当たってはない。きっと三位一体の中では「なんで当たらない!?」とか言ってるはずだ。もうちょっと口径のでかい弾丸にするべきだったな。それなら嵐天武装の乱気流にも負けない射速で撃てただろう。けどきっとこれが限界だったんじゃないだろうか?


 なにせ変形機構とかつんでるヴァレル・ワンなんて見たこと無いし。そもそもがヴァレル・ワンって細くてシンプルな構造だ。それを複雑化してるわけだからね。そしてこれだけのスピードを出すと成れば、勿論強度も必要だ。強度と複雑化って両立するのきっと難しいはずだ。


 それなのにここまでのギミックを仕込んだというのはある意味で天才的な工学系の技術者でもいるのかってレベルだ。尊敬するよ。けど、このレースでは僕が勝つ!!


 前方、ゴールに居るプレイヤーたちがそのどでかい接地型の砲台から特大のエネルギー波を放つ。周囲が白く染まるかのようになった。流石にこれは嵐天武装でもどうにも出来ない圧倒的威力だろう。きっとこれが収まった時、砂浜には抉られた光景が見えると思う。


 僕は三位一体を生贄にすることで問題はない。なんか射撃も止まってる。これが放たれたと同時に射撃が止まったから、きっと余力の全てをシールドの方に回してるんじゃないだろうか? こっちにかまってる余裕がなくなったのはありがたい。


(アギトのやつは……)


 この光の中、消え入りそうな炎が見える。頑張ってるが、どんどんとアギトのヴァレル・ワンはその形を保てなくなっていってる。既に限界だった。だからここまで持ったのが奇跡だろう。この攻撃に耐えられるはずはない。


 僕はゆっくりとアギトの方に向かって敬礼するよ。


(お前の意思は僕が引き継いでやるよ)


 まあ全然関係ないチームだから僕が勝ったところであいつは嬉しくもなんともないと思うけどね。さよならアギト。そんなことを思ってると、アギトの炎がなんか青くなって、さらに白くなって弾けた。


「は?」


 本当に素でそんな声が出た。

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