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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1903/2701

1903 前に進むためのXの問い編 276

「相変わらず、頭おかしい動きしてるな」


 吹き抜けた風を感じて、俺はそう呟いた。てか……スオウのやつが通ったおかげか、向こうに意識が持っていかれたらしい。近くのやつに反応するのは人の……いや、動物としての本能だろう。一瞬どうしてもどっちに? ってなる。俺の機体であるマグナムドライブは見た目派手だし、標準的なヴァレル・ワンよりもちょっと大型だ。だからこそ、こういうごちゃごちゃした場所には向いてない。


 それに対して、スオウの奴が乗ってるヴァレル・ワンはとてもシンプルだ。極限まで色々と削ってるのがわかる。細いし、小さいし、更に穴空いててさらにさらにシールドさえもない。今までのレースでそれは判明してる。つまりは簡単に破壊できるってわけだ。そこまで装甲が紙なヴァレル・ワンは今高順位にいるプレイヤーの中では多分スオウだけだ。俺たちを餌に例えると、スオウはある意味で一番美味しい餌なんだ。


 だからこそ、全員が一瞬そこで選択をする。そのために脳を使う事になる。そこそこ硬いこっちか、それとも一発でも当たればどうにかできそうなスオウの方か。それにあいつはそこそこのプレイヤーに嫌われてる。それも大きい。


 感情的に狙われる理由がある。


(今なら!!)


 俺はこの隙きを狙って動く事にする。エンジンの調子は戻ってきたが、流石にここでもう一回……なんて出来ない。レースの最後、それこそ最後の直線にとっておきたいし、ジャンプ台でもやりたい。


 となると、こんな場所では使えない。スオウのやつを参考にして走る……なんてことは出来ないから、あいつが他のプレイヤーたちを撹乱してるうちにこっちもうまくあいつを使うのが正しいやり方だろう。


 なにせスオウのやつのヴァレル・ワンの操作は異次元すぎる。どういうふうに走ってんだよ――と言いたい。車は急には止まれないし、急には曲がれないんだ。だからコーナー攻めるときは余裕を持つし、アクセルとブレーキを駆使して、うまく緩急をつけて機体の制御を保っていくのが普通だろう。


 こういう障害物が多い場所ではそれこそ慎重に進むしか無い。そんなにスピードは出せないものだ。けどあいつは違う。全くスピードが落ちない。一定のスピードで木々の間を流れるように進んでる。なんか見てると、機体自体がふにゃふにゃってしてるんじゃないかって感じに見える。


 ペンや鉛筆を指二本で挟んで眼の前で上下に揺らすとなんか軟体生物のように見えるじゃん。あれである。


 実際はペンも鉛筆も硬い一本の棒である。けどフニャッフニャに見える。アレと同じ現象だよ。そのくらいに速い。アレはどう考えても無理だし、あいつの場合は心配するだけ無駄だからな。


 俺はインベントリからたくさんの煙幕を出す。それを周囲に投げまくってやった。これで視界を防いで、その間に上を目指す。リスクはある……でも多少のリスクくらい乗り越えていくっていう気持ちで行くぜ!!

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