1897 前に進むためのXの問い編 270
ヴァレル・ワンがいくつも交差しながら進んで、更にその交差際に自分たちの刃をぶつけ合ったりしてて、これはもう僕のやってるレースと違うなって……なんかそんなことを感じてる。
(なるほどね。武装積んでる同士ならああなるか)
基本はミサイルや弾の撃ち合いが多いけど、接近すると、ああやってぶつかり合うことになる。武装を積んで、そして刃物まで出すのならすぐにその皮がぼろぼろになりそう……というイメージがあるんだけど……ヴァレル・ワンのシールドによって、ある程度は持ちこたえることが出来るみたいだ。
シールドがなくなってあんなのを食らうと……流石に一発で終わりそうだね。なにせヴァレル・ワンのタフさってほぼシールドがあるからだ。僕は更に元々紙な装甲に穴開けて更に紙にしてるからね。
言う馴れば、紙に穴を開けてボロ紙にして使ってる――かのようなものなのだ。だからかなりリスキーなことを自分はしてるんだねって、アレを観てると思う。
「あ、アギトじゃん」
よく見ると、あのやりあってるヴァレル・ワンの中にアギトの機体を見つけた。まだ生きてたか。いや、期待はしてた。あいつが簡単に脱落するようなやつじゃないってね。でもほら、LROは何がおきるかわかんないじゃん。
知り合いだからって、大丈夫ってわけない。特に僕たちはチームも違うし、現状をやり取りしてるわけでもなかった。だから、いつのまにか脱落しててもおかしくはなかったはずだ。まあ実際、アギトが今、上位陣の中に居るのかはわかんないけど。もしかしたら周回遅れってことも。そして妨害側に回ってる――ってこともありえなくはない。
「でも、狙われるてからね」
そうなんだよね。見たところ狙われてる。アギトのチームは中堅くらいにはなってたから同じチームの奴等を2・3人くらい引き連れていてもおかしくないのに、アギトは一人だな。まあここまでで、同じチームの奴等が脱落した可能性もある。
なにせこれだけ派手にやりあってるんだ。ボロボロになって脱落するプレイヤーは結構出てる。だから、三周目で仲間が残ってる……って言うのもなかなかに運がいいってことなんだよね。アギトはちょっと運にめぐまれなかったのかもしれない。
まあだからって、良くやってるようには見える。
そんなことを思ってると、アギトが仕掛けた。その機体を真っ赤にして、なんか一気に加速する。すると向かってきてた他のヴァレル・ワンを一気に大破させて山へと突っ込んだ。
「なにあれ?」
やば……なるべくアギトには近づかないようにしよう。そう思った。




