1886 前に進むためのXの問い編 259
大量のミサイルに大砲によってこの岩礁地帯の地形が変わりそうだ。爆発とともに、岩は吹き飛び、その破片が大量にふきすさんでる。細かい破片は風でどうにか出来るが、そこそこでかい破片が、爆発の余波によって吹き飛ばされて凄い勢いでくるとなると、危険極まりない。だってそういうやつってなにせ読みづらい。
突発的……というか、爆発によって吹き飛ばされる二次被害みたいなものだから、どう飛ぶかなんかそこに意思は介在しないんだよね。そのせいで読むことはできなくて、更にこれだけ爆発が続いてると、もうそこら中から爆発とともに破片が飛んでくる。爆発にも巻き込まれるわけにはいかないのに、更にそれのせいで岩がめっちゃ飛んでくるっていうね。これはなかなかにやばいよ。放ってる奴らはそれなりに遠くにいるから僕ほどに影響なんて受けないだろうし……どうにかして反撃してやりたい気は満々だけど、その手段がない。てか回避に専念しないと僕のウァレル・ワンに穴が開く。
「もう、乗り物の動きではないなこれ」
そんな風に自分で思うほどの動きを僕はウァレル・ワンでやってると思う。もうね、自分の体の一部で、手足の延長なのかって感じだ。回って切り替えして、滑って跳んで……もう大忙しとはこのことか。
でもその必死な運転のおかげか、なんとか大きな被弾はさけられてる。そして岩礁地帯を抜けられそうだった。岩礁地帯を抜ければ、この跳んでくる岩の破片ともある程度はおさらばできる。なにせこの先は草原だったはず。沼だったっけ? とか思ってると沼地に出た。ある意味草原よりも爆発したあとの影響が少なそうでいいかもね。
僕が沼地に入って疾走してると、次々と後ろから続いて来る奴らが見える。諦めが悪い。いや、諦めるわけ無いか……だってこれが最終の周回だ。ここで僕を脱落させないと勝負は決まる。いや、決まるかはまだわかんないけどさ、アイツ等はきっと死んでも僕にはトップを取られたくないんだろう。
するとなにか今までと違う音が聞こえてきた。
ギャギャギャギャ刈りガリガリガリガリ――
とかいうなんか物騒な音だ。そしてその音とともに「「しねえええええええええええ!!」」という声が聞こえてきた。僕はスピードを落とさずにその場で一回くるっと機体を回すことで左右から突っ込んできてたウァレル・ワンの攻撃のタイミングをずらした。それよって回転刃を先端につけてたウァレル・ワン二台がお互いにぶつかって大破した。
「ご愁傷さま」
僕はそう言ってそいつらを無視して進む。どうやら最高のタイミングだと思って突っ込んできたらしいね。たしかに普通ならなんとか後続からの攻撃をやり過ごして沼地に入り、ちょっとホッとしたところで奇襲をかけられたら対応が遅れてしまうかもしれない。
でも残念、僕はこのレースに味方なんていないと思ってるからね。いてももちろん一人だけ。同じチームのやつだけだ。なら九割は敵な訳で、そんな状態で油断なんて露ほどもするわけない。そういう訳でこれからも僕は気を引き締めていこうと思う。
 




