1880 前に進むためのXの問い編 253
海岸には20機のウァレル・ワンが横に並んで待ってた。お前らもうレースする気がないのならリタイアしろよ――とおもう。けどそんな気はないんだよね。なにせ自分は無理でもきっと関係ある誰かの順位を少しでもあげようってことなんだろうから。
そのためには上にいる奴らをことごとく潰せば自然と順位は上がるわけで……でもトップ5くらいに入らないと恩恵ってないんだよね。今の時点、つまりは三周目で50位にも入ってない奴らはすでに諦めてほしいところである。
いくら順位を上げたところで……ね。それだと意味ないでしょ。まあ元々順位なんて関係ねえ!! 楽しみたくて参加してるんだって奴らもいるとは思う。そういう人たちで、もう優勝も上位も狙えないの人たちはなにか華々しいことをしたいと思ったりするのかも。
実際のところLROで普通のレースなんて求められてないだろうしね。こうやってぶつかったほうがきっと客も盛り上がるだろう。そして盛り上がりが大きくなれば、次もやろうかなってテア・レス・テレスも思うだろうしね。
まあそもそもがこの一回で終わらせるとは思えないけどね。なにせめっちゃ労力を割いてウァレル・ワンという機械を広めたわけだ。一回だけじゃもったいないだろう。
(会長のやつは最後にはこうなることくらい予想づみか……)
てかだからこそ武装オーケーだった節まである。純粋なレースにしたいのなら、そういう武装は禁止にするはずだしね。最後の周回はどこでもハチャメチャになってそれで盛り上げようという魂胆か。トップに居る僕からしたらはた迷惑極まりないけどな!!
僕は目の前の奴らに向かってスピードをあげる。もうこうなったら小細工なんて僕にはできない――というわけで突っ込むだけだ。でもただ突っ込んだら蜂の巣だよ。でもそこで僕に狙いを定めてるウァレル・ワンの一つが僕を待ち構えてる中、仲間……というか待ち構えてる連中に攻撃をしだした。ほぼ全てがこっちに銃口を向けてたわけで、裏切り者が出るなんて思ってもなかったんだから、やり放題である。
「何しやがる!!」「こっちじゃねえぞ!」「まさか、お前!?」「あいつの仲間だな!!」
とかいう声が聞こえるが、攻撃を仕掛けてるやつは高笑いをし続けてる。まあ答える義理なんてないからね。でもたしかにあいつは僕の仲間だ。仲間というか、今は仲間である。もともと僕はこのレースに一人で参加してるわけじゃないし、僕がトップを取ってもう一人が妨害担当だからね。実際そういうチームはそこそこ多い。だからちゃんと確認するべきだったね。
でもかなり多くのチームが参加してるし、全部の情報を持ってるところなんてのはまあないよね。だからうまく入り込んでくれたんだろう。僕は仲間が待ち構えてた奴らを混乱にさせてる間に、スタート地点のチェックポイントを通過して三周目に突入した。




