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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1862/2701

1862 前に進む為のXの問い編 235

僕はあっという間に山を抜けた。なんかいつの間にか登ってて、更に下りは一気に飛び出して山の上を飛んで下った。本当なら普通に下ろうと思ってたんだけど、自分でも思ってたよりも全然スピードが出てたらしい。頂上付近におあつらえ向きにジャンプ台が用意してあった。多分アレはテア・レス・テレスが用意したものだろう。


 遊び心なのかなんなのかわかんないが、それを使ったら上手く山を一気に下ることが出来た。実際、普通に走っても今の僕とヴァレル・ワンならかなり早かったと思う。けど、丁度良いからね。それに僕のヴァレル・ワンはかなり軽いし、もうあれはジャンプなんてものじゃ無かっただろう。僕はあのとき、間違いなく飛んでいた。かなりの長距離を山のてっぺんから飛び出したからね。もしかしたらいくつかのコースをすっ飛ばしたのかもしれない。地面に付いたとき、そこは再びの草原だった。


 一応ちゃんとジャンプ台の向きのまま、飛んできたわけだけど……紙をみるとチェックポイントの印が増えてた。


(もしかしてこれって、公式ショートカットか?)


 そんな気がする。ジャンプした時、空にもテア・レス・テレスの監視装置の綿毛があったからな。普通はもっと下の方を飛んでるのに、わざわざ高い位置で止まってた。それはつまりはあのジャンプ台を利用したプレイヤーのための綿毛だろう。


 と言うことはあのジャンプ台はテア・レス・テレスというこのレースの主催者側である公式からのありがたいショートカットと言うことになる。実際どれくらいショートカット出来たのかわかんないが、地図を見ればどのくらいの場所にいるのかはわかる。


 そしてコースを推察することだって出来るだろう。実際ここまで飛ぶことを想定してたのかはわかんない。だって本当ならただ山を下りるためだけのショートカットだった可能性はある。あんまり沢山のプレイヤーがこの山でつまらないようにする……その程度の配慮だったのかもしれない。


 でも僕は飛んだ。下に落ちると言うより、飛んでしまったのだ。けっこうな距離をね。まあけど、チェックポイントは通過したことになってるし、もしかしたらこう言う奴がいるかもしれない……


(いや、会長のことだし、僕のことを想定してたか?)


 あり得る。あいつはあからさまに僕に加担するようなことはしない。あくまで公平に接する奴だ。だからこれが僕のためだけに用意された……なんてのはお門違いだろう。けど、それをどう使うかは自由なわけで、そして運営側ともなるとその参加者達の自由にどれだけ対応できるか……って奴も大切だろう。


 だからこう言う奴もいるかもしれない――と考えてこうしてたんだと思う。そしてその想像に僕が想定されてたとしてもおかしくは無い。実際僕のことを後押ししてくれるのなら、ああいうジャンプ台を各所に設置しておいたくらいだしね。でもそんなのあの山にしか今の所無かったし、僕が有利になるって状況もあんまり無い。


 これからも何かテア・レス・テレスが用意したギミックがコース上にあるのかもしれないが、結局の所、それを上手く使ってレースを有利に進められるのかは、僕たち参加者の自由な発想にかかってる……と言うことだろう。


「そもそも僕は何も発想してないしね」


 今回のはただジャンプ台があったからジャンプして、そしてこれなら僕のヴァレル・ワンならかなり距離を伸ばせるんじゃ? とか思ったからやっただけだ。それに僕の目にはかなりと奥までの綿毛まで見えてたのも大きい。それがなかったらチェックポイントの事もあるし、まっすぐに下に降りてたかもしれない。


 なにせチェックポイントを通過しなかったら失格だしね。どこにチェックポイントがあるかわかってない一週目は皆、チェックポイントを確かめながら進むのが定番。でもこれで公式のショートカットを使えばいくつかのチェックポイントは無視できるとわかった。もしもこれに気づいてるのが僕だけなら……これはとても大きなアドバンテージだ。

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