1806 前に進む為のXの問い編 179
ゼバメントスターで騎士ンズラベーダとレッドドラゴンを同時に足止めしてる間に、なんとかオウラさんとテッケンさんが私の側まで来てくれました。
「よくやってくれましたシルクちゃん」
「ああ、正直今のはヤバかったね」
二人は息を整えつつ、そう言ってきてます。ゼバメントスターは後二十秒くらいは続いてくれるでしょうけど……それで何が出来るか。まあ落ち着く事は出来ます。ダメージだって入ってる。ゼバメントスターのその数とダメージ量の高さに、レッドドラゴンはそそくさと崖に隠れてるし、騎士ンズラベーダは――
「ふははははははは! いいぞ!! 良い!! 滾ってくる!!」
――とか変態チックな事を叫んでいます。
「わかった事があります」
そんな騎士ンズラベーダを無視して、オウラさんが言ってきます。
「どうやらあの騎士ンズラベーダはHPが減るごとに攻撃力が上がってるみたいです」
「滾ってるらしいですからね」
「ええ、この魔法で今のHPバーも半分を切りました。更に奴は変化してくるかもしれません」
「一応バフをかけ直しておきましょう」
もしかしたらバフを打ち消してきたりする可能性もあります。なにせサポート役として、あまりありそうな図体をしてるレッドドラゴンがいるんです。やってきそうな気はします。
「あのドラゴンはどうする? 再びシルクちゃんを狙われたら面倒だぞ」
「そうですね。守りの杖はもうないですし……」
あの杖は特注品でなかなかに高価でしたからね。そんなに一杯ある物ではないです。あれがなかったら、私は確実にやられていた事でしょう。ピナがいなくてもストック魔法を実現できないか、お抱えの鍛冶屋さんと一緒に作ってた試作品でしたけど……試作品だからこそ、作るの大変なんですよね。
「二手に分かれるしかないでしょう。私が騎士ンズラベーダを担当します。テッケンさんはレッドドラゴンをお願いします。それともどうにかマグマを無力化できるのなら、ウンディーネである私がマグマの海に降りて地の利を生かしますが?」
確かに完全にマグマ対策が出来るのなら、それは良いかもしれないですね。けど、そこでテッケンさんがこう言います。
「いや、オウラさんは騎士ンズラベーダをお願いするよ。崖でも、この体の小ささならやりようはあるからね。しかも敵はデカい、それに対して僕は小さい。これはアドバンテージになるよ」
「わかりました」
方針は決まって、そろそろゼバメントスターも終わるでしょう。一息つくのもここまで。再び戦火は切られます。