1792 前に進む為のXの問い編 165
「ぐふっ!?」
テッケンさんの短い腕では顔面に深く刺さった拳を防ぐことは出来ませんでした。魔法で勢いをつけられましたしね。私が先にはなった魔法は別に味方にしか影響がないわけじゃないです。利用しようと思えば、ある程度知能があるのなら敵だってそれを利用することは出来ます。
だからそれを利用されました。本当ならこんな短時間で利用しよう何てしないんですが……どうやら騎士ンズラベーダはそれだけ適応能力も高いようです。
「テッケンさん!」
「だい……じょうぶだ!」
なんとかHPが1残ったようです。これはあれでしょう……本当ならやれてたはずです。私が渡しておいたHPを1だけ残してくれる生き残りアイテムの『献上のブローチ』のおかげでしょう。やっぱり渡しておいて良かった。私はすぐさま回復魔法を詠唱して発動させます。回復魔法とかの使用頻度が高いものはなるべく詠唱を短縮できるようにしてますからね。
こう言うよく使う魔法にこそ努力の優先度ってのはあてがうものです。それなりの回復量を伴う魔法ともなれば、なんだかLROの仕様なのかかなり詠唱が長いです。詠唱を正確に詠唱しなければならないLROにとっては後衛殺しとも言われる仕様です。
これをバトル中に間違いなく詠唱できるようになるのが、後衛で一人前かどうか問われるものですね。そして更に先に行くと、どうやって短縮させるか……実際短縮された魔法の詠唱はパーティとか組んでたら普通に聞くことになります。
そうなると一人が短縮させた魔法の詠唱を別の人も使えば良いじゃん……って事になってすぐにその魔法の短縮詠唱が普通は広まるでしょう。けどLROではそうはなってません。個性とか多様性……可能性が重んじられてるLROはそれを許してはないのでしょう。誰か一人が苦労して、後の人が楽をする……そんなことはシステムが許してない。
いえ、ただたんに、それが出来ないだけなのかもしれないですけど……まあ、できないなんて事ないっておもいますけどね。
とりあえずテッケンさんはなんとか生き残って私の魔法で一気に回復させました。ほぼタイムラグなく戦線に復帰します。その間なんか騎士ンズラベーダとオウラさんが力比べしてました。
「んぎぎぎぎ……」
二人は腕を組み合わせて押し合ってます。凄い……あの重厚な騎士に全く押し巻けてない。と言うか少し押してます。いやいや、本当にあの人の筋力はどうなってるんですかね? 流石に筋力とかはこっちでも鍛えないと、リアルを反映してはないと思いますけど……そういえばいつも筋トレとかしてますね。
それでどうにかなるものなのかな? って、思いますけど……