1776 前に進む為のXの問い編 149
「エクストラボス?」
「まさかそんな……更に上のボスって事だよな?」
「待ってください。エクストラボスについての詳細を求めます!」
私とテッケンさんがシステムが出してきた文言に驚いてると、オウラさんは相変わらずシステムに質問を投げかけてた。いや、さっきもそれしてましたよね? しかも返答なんかなかったと思うけど……私たちの視線に気づいたのか、オウラさんはこう言った。
「分かってます。今はどれだけシステムが、マザーという存在がプレイヤー一人一人を観てるのかを確認してるのです」
なんと……オウラさんはただの戦闘狂……ではなかったみたいです。いや勿論違うと分かってますよ。本当です。だって普段はとても心優しい人だというのは知ってます。孤児院をやってるときのオウラさんは本当にお母さんみたいです。名目上はメカブちゃんが院長ということになってまずが、誰が観てもその上にオウラさんが立ってるのは明らかです。
まあメカブちゃんはそもそもが誰かの面倒を見る側じゃ絶対にないですからね。寧ろ監視してないとあの子は何するか分からないですからね。計画性皆無すぎます。そんなメカブちゃんを支えつつ、孤児院を運営してるのはオウラさんです。この人がバカなわけはなかった。脳筋な訳はなかったです。確かにオウラさんはゲームに不慣れですけど、この人だけは絶対に敵に回したらいけない……それだけは分かりますからね。物理的に勝てないのは勿論ありますけど、相手を消す方法なんていくらだって実はあって、そしてオウラさんならそのどれでも確実に出来そうなのが怖いのです。
リアルの彼女は筋肉もりもりのスーパーウーマンです。でもその筋肉頼りじゃないからこそ、彼女はきっと伝説の傭兵とか呼ばれてるんでしょう。
「ふむふむ、エクストラボスは更に強力なボスというわけですね。相変わらずシステムの返答はなし……と。プレイヤーが干渉できるのはイエスかノーだけですか。不親切ですね」
そう呟きながらオウラさんは何か思案してる。そして再び――
「聞えてるでしょう? もう少し情報をいただかないと此方としても判断できかねます」
「オウラさんそ――」
――私が口を挟もうとしたら口元を指で押さえられました。イケメンにされたいシチュエーションですよそれ。まあ期待してませんけど……しばらく私の唇にはオウラさんの指が添えられてました。いつまでこうしてれば……そうやって私たちは数秒間じっとしてました。勿論その間、選択肢は選んでません。するとなんかウインドウの文字が増えました。
『エクストラボスはより強化された個体が出現します。討伐できたのなら、全ての報酬をグレードアップするか、アイテムを望まないのであれば、システムへの懇願を受け入れましょう』
なんかそんな文言が増えてた。