1768 前に進む為のXの問い編 141
「も……もうやだー!!」
私はそんなことを叫んで机に突っ伏した。すると隣から冷たい声が聞こえてくる。
「そんなこと言っても、仕事はなくならないわよ摂理。だからさっさと確認して判押して」
「もう腕が……腕が限界だよ!!」
そう私の腕は既に限界を迎えている。もう私の握力は限界だよ。リアルでペンよりも思い重い物を持てない状態だよ!!
「てかなんでこの時代に紙の書類がこんなにあるの!? 今やデジタルの時代だよ!!」
「デジタル書類もいっぱいあるわよ」
「もうやだー!!」
私は本日二度目の「もうやだー!!」を出した。てか最近はここ毎日言ってる。なんでこんなことになったのか。前は悠々自適なリアルライフを送ってたのに……
「安易に生徒会長になるからでしょ。そもそも私は生徒会役員じゃないんですけど……」
「私の一番の親友じゃん!」
鈴鹿ちゃんは無理矢理付き合わせてるのだ。泣き落とした。確かに彼女は生徒会役員ではない。三顧の礼までしたのに断固拒否られたからね。結局最後は日鞠ちゃんに頼ったし。どっかからめっちゃ貴重な古書を手に入れてきて、それと引き換えに鈴鹿ちゃんは私の手伝いをして貰う約束を取り付けたのだ。まあ既に鈴鹿ちゃんも古書につられたのを後悔してるけどね。
でもやっぱり一番は私だ。……既に何回も思ってる。生徒会長なんてならなければよかった……って。確かに私は生徒会長と言う立場をあまくみてたのかもしれない。学校にほぼ通ったことなかったけど、漫画とかでは大体横暴なことをしてるからやりたい放題……とは行かないとは思ってたけどさ。てかそれらはファンタジー生徒会とはちゃんと聞いてた。普通の生徒会は毎日集まるようなことはしないし、動くことだって年に大きなイベントがある数回だってネットにはあったのに。
「なんでここの生徒会はこんなに忙しいの?」
「それは前会長のせいでしょ」
「他の学校の生徒会も、実はちゃんと忙しくしてるんだよね?」
「なんで犠牲者を期待してるような眼差しなのよ。残念、他の学校で生徒会が忙しいとか聞いたことないわね」
「そんなぁ!! 同類がいればまだ私だけじゃないって思えるじゃん!」
そうなのだ,私は私だけが忙しいなんて許せない。自分だけが不幸なんてイヤじゃん。自分が不幸なら皆も不幸であって欲しいと私は思う。でもきっと日鞠ちゃんはその逆なんだと思った。あの子がなんで誰からも好かれるのか……今この瞬間分かったかも知れない。
きっと日鞠ちゃんは誰かの為に自分の身を粉にすることを不幸だなんて思ってないんだろう。だからあの子……いやあの人は……
「日鞠ちゃんはこんな大変な事を毎日……」
「いや、アレは摂理が躓くようなことは片手間で出来るでしょ」
なるほど……日鞠ちゃんはこのくらいは不幸でも労力でも何でも無いのか……やっぱりあの人、私たちと同じステージに居ないよ。そんなのの後釜になった私……ほんとバカ。