1759 前に進む為のXの問い編 132
「それで、何?」
「最近、派手に暴れてたじゃない?」
「誰が?」
「勿論スオウが。ちょっと前にこのレスティアで鬼ごっこしてたみたいだし。本当に貴方はいつだってイベント化するね
なんかクスクスとパメリアの奴は笑ってるが、アレはこっちからしたら大変だったからね。てかあの刺客ってさ……僕はじっとパメリアを見る。
「何?」
「お前……実はあいつと知り合いって事無いか?」
「あいつ?」
「僕を執拗に襲ってきた奴だよ」
あの刺客、刺客だからこそ、誰かに依頼されてたはずだ。テア・レス・テレスの監視下に入ってるけど、まだ口は割ってないらしい。そもそもが完全に監禁なんて物はLROでは出来ない。なにせログアウトがあるからだ。でもそこはほら、会長だからな。色々と対策自体は講じてるみたい。あれから一回も僕が刺客に狙われるってこともないし……てかなんかこの前は普通にあの刺客がテア・レス・テレスの制服を着てたのを見たような……いや、気のせいだろう。会長の奴は人をほだてるのが上手いが、流石に……ね。あの刺客頭おかしかったし……流石に頭おかしい奴は、頭おかしいから理解なんて出来ないだろうしね。
「私とスオウは仲間でしょ? 仲間を襲わせてどうするのよ? まだレースも終わってないしね」
それって暗にレースが終わったら仲間じゃなくなるって言ってない? いや、今もパメリアは僕のことを仲間……何て思ってないと思うけど。まあそこは突っ込まないでやろう。
「じゃあなんか心当たりとかないのか?」
「まああいつ自体は知ってるけどね」
「皆それを言うな」
「こっち方面では有名だし。頭おかしいって」
そんな頭おかしい奴から狙われた僕って一体。でも狙われたからこそよく分かる。あの刺客が頭おかしいって……実際僕はちゃんとこの悪党チームの面々にも一応それとなくやべー奴に狙われてるんだけどっていう話はしてた。特徴出したら結構すぐに皆分かってたから、やっぱり裏の方では有名らしい。
あいつ自体を知らない訳はないよなパメリアの奴も。
「でもあれってチームとかには入ってないわよ。いっつもソロで活動してるのよ」
「それでやっていける物なのか?」
「だってあれ、執拗だからね。アレが得意としてたのは追い詰めること。肉体的にじゃないわよ? 精神的にね。ちょっとの間だけど、あれに狙われてたのならわかるんじゃいない?」
パメリアの奴の言葉を考える……ふむ……つまりは……
「あの刺客ってもしかしてLROを引退させるのが得意とかそんな感じか?」
「まあそうね」
思い返せば、僕もあいつにつきまとわれてるときはLROに入るのがちょっとイヤになってたんだよね。もっと長期にわたってつきまとわれてたら、そのうちログインすることもなくなってたかも……いやそれは無いけど。だって僕はLROに深く関わってるから。でもそうじゃなかったら? 実際本当にただのゲーム感覚なら、止めるのも簡単だろう。
いやそれなりに費用かかってるからね……リーフィアとかね。
「新しいキャラメイクして入り直せば良いじゃん?」
普通のプレイヤーは僕とは違ってちゃんと細かくキャラメイクが出来る。全く新しい人になることは難しくない。そう考えると止める必要性はないね。
「確かにそうだけど、人間関係は引き継げても、全く同じキャラには育てられないでしょ?」
「まあ、確かに……」
いままでかけた時間は無駄になる……か。LROは特殊だからね。スキルを得るのも運の要素が絡んでる奴がけっこうある。同じスキルでも同じようにして取得できるか……はわからない。だからこそ、皆か違ってるんだけどね。
「それで話って、その刺客のことか?」
「ああ、いえいえ違う違う。今のはおまけ。これを」
そう言って何やら手紙のような物を取り出した。真っ黒な便せんだ。隅っこに真っ赤な薔薇が描かれてるな。
「何これ?」
「ラブレターじゃないからね」
「期待してないから」
全くもってね。
「端的に言うと、犯行予告」
「は? おい、それって」
「ただ、会長に渡してくれればいいから。それだけ。じゃあ確かに渡したから」
そう言ってとっととログアウトするパメリアの奴。あいつ、僕が会長と深く繋がってるの分かってるなこれは。さて、どうしたものか……僕はその犯行予告と告げられた便せんを見て悩んだ。