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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1751 前に進む為のXの問い編 124

「やっぱりあれを出してきたな」

「あんなアイテム聞いたことないわ。高く売れそう」

「やめろ、あれは手に入れて、奴に上手く複製させるんだ。そしてそれを裏のルートで売買すれば……」

「確かに一つしかないそれが売るほどにあるとなれば、良い値をつけれるな」

「あたしはそんなことに興味なんてないよ。はやく会長を殺したい」


 なんか扉の向こうから物騒な声が聞こえる。あいつら大丈夫か? そう言う話をするときはせめて防音の結界くらい張っておけよ。簡単に防音空間が作れる札があるんだしね。そんな売れてない札の中で一番人気の商品だぞ。どこに聞き耳を立ててる奴がいるかわかんないから、一定範囲を傍聴禁止範囲に指定するそれはなかなかに重宝されてる。まあ効果によって値段が違うし、完全に声や音を遮断するのはかなり値が張る。

 でもそれなりの防音ならお手軽価格だ。このLROの世界はリアルよりも科学技術の面では遅れてるが、そうじゃないのなら進んでる部分とかある。基本、この世界の建築物は石や木とかだけど、案外防音がしっかりしてるのは、こういう札が使われてるからだ。

 ぼろいアパート的な建物だって、隣の部屋の音が聞こえてくる……なんてことはない。流石に扉に耳をあてたら中の話し声くらいは聞こえるけどね。でもそういうのもイヤな人は、ちゃんとその都度札を使ったりしてるだろう。僕は今、レスティアに戻ってきてて、そこの区画の一軒家に入った。普通の建物……誰もがちゃんとテア・レス・テレスに許可を求めてお金を払えばもらえる建物に、悪の巣窟……とは呼べない間抜けな奴等のハウスがある。


 テア・レス・テレスが作って販売してる家だからね……ちょっとは警戒しても良いような気もするが……まあこいつらはお遊びで悪いことをやってるんだろうからこんな物なのかもしれない。こいつらは所謂本当の悪人じゃない。LROだから、ゲームだからせっかくだしアウトロープレイをしたいって感じで悪の道を走ってる奴等だ。

 だから色々と詰めが甘いのは仕方ない。こうやって物騒なことを言ってる俺たち、かっけーをやりたいからやらせとけばいいのだ。多分だけど、防音の札とかを使ってないのも、実は今この瞬間にテア・レス・テレスが踏み込んできてドキドキ……みたいなのを味わいたいんだろう。よくドラマとかで見る、悪い奴らのところにいきなり踏み込んで来る現場……みたいなのに憧れてる……みたいなことも言ってたしね。

 まあけど、実際悪いことをやってはいる。他のプレイヤーを襲撃してヴァレル・ワンのパーツ奪ってるからね。でも奪ってると言っても、PKの末に上手くそれを引き出すって感じだけど……ギリギリPKしないときもある。でも結局、ヘイトは買ってるんだけど。

 なにせ他のプレイヤーがクエストをこなして必死こいて集めてきてたパーツを横から奪ってるのはには変わりない。まあそれをやってるのが僕たちだけ……ってことはないみたいだけど……


「やっ」


 僕は扉を開けて軽く手を上げて中に入った。すると一人がこんな事をいう。


「黎明の神が舞い降りる」

「暁を下ろすときが来た」

「ふっ本物か」


 ねえ、これ止めない? てか扉を開いて入ってきてる時点で遅いよねその合い言葉。ただやりたいだけなんだろうけど、付き合うこっちは恥ずかしいんだよ。まあ別にどうとでもない……と言う顔をして僕は袋をなげる。それがテーブルに落ちて袋からゴロンと機械のパーツが出てきた。


「まさか!」

「みつけたのか?」


 驚いてるこいつらに僕は頷く。すると一人がたばこをくわえて、何も動作をせずにそのたばこに炎をともす……というか一気に燃え尽きてボロボロと崩れた。そして大量の煙を吐く。


「くわっはっはっは! 流石俺たちの一番槍だ!」

「ふっ……なかなか……げほげほ! ちょっ、だからそれ止めなさいよ!」

「まったく、君にはおそれ……うおおおおえええええ!」


 うん、皆きっとリアルではタバコなんて吸わないんだろうね。動ける奴等は速攻で窓を開けに行ってた。閉まらない悪党だなーと思ってた。

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