1685 前に進む為のXの問い編 77
「長く存在してるのなら、その存在だって固定というか、許されてるっていうか……そういうことじゃないのか?」
そもそもがその存在に許可がいるとかがわかんないけど……でもそれだけシ○ガミ様の言葉は不自然だったのだ。
『私はたしかにここに居る。それは間違いない。だがそういうことではないのだよ』
そういうことじゃない……ね。てか普通に話してくれたな。僕の言葉なんて無視するものかと思ってた。
「でもでも……私は何をすれば良いのかなんてわかんないよ?」
アーシアが困惑したようにそう言うよ。それはそうだよね。固定してほしいって……なにそのイヤな性癖みたいな。Mな方なの? と思わなくもない。いや、そういうことじゃないのはわかってるし、アーシアに至ってはそんなこと露程も思ってないと思うけど。
『神と呼ばれてるが、私たちは神ではない。それにそんな大層な存在へと至った気になってもない。だが、これでも私のような土地神はそれなりに頼られてもいたりしてね。
仲間というか、家族が沢山居る』
「それは良いことだね!」
『ああ、本当にね。皆のためにも、私には君が必要なんだよ』
回りくどい……と思うのは僕だけなのだろうか? こういう高尚な存在って言葉を転がすのが好きだよね。自分がどれだけ頭良いか知らしめたいのか? 簡潔に言ってくれないかな?
『君がいれば、私たちはもっと強い家族になれるんだ。それは素敵なことじゃないかな? それに勿論君も加えよう。ひとりぼっちになんかさせないよ』
その言葉を聞いて、アーシアがこっちを見る。そしてこういった……
「スオウも?」
「いや――」
『それは無理だね』
否定しようとしたらかぶせるように否定された。「ふざけんな」って意思が見えた気がした。いや、こっちもふざけんなって感じだけどね。こいつらの家族? 何かになる気は無い。
「その家族ってなんだ?」
僕は気になることを聞く。ぼかしてるけど、それってきっと普通の家族じゃないだろ? もしかしたらシ○ガミ様の家族達でアーシアを分け合って、血肉として『はい、家族になりました』ってオチかもしれない。そんな猟奇的なことにはならないと思うけど……でも確かめずには居られないよ。
『君は家族を知らないのか? 家族は親が居て子が居て、親が子を護り、成長させ、そしてその子が親になり延々と続いてく自然の摂理だよ。ああでも、確かに君は愛に飢えてるようなに見える』
どういう意味だこのクソ鹿! ぶった切ってやろうかと思ったけど、僕はグッと我慢した。