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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1672 前に進む為のXの問い編 64

「お願い、どうして私を連れて行こうとしたの?」


 アーシアが大鹿に向かってそんなことを言う。大鹿は僕とアーシアの方を見ながらじっとその場に佇んでいる。その姿は存在というかなんというか、そのでかさも相まって迫力がある。

 でもさっきまで僕を睨み殺すように見てたその圧迫感は今は無くなってると思う。多分だけどアーシアを意識してるからだろう。何でそんなにアーシアには優しそうで、僕のことは最初から嫌いな感じだしてるんだ? 理不尽ではないだろうか?


 微動だにしない大鹿……僕たちはしばらくその場に佇んでるわけだけど……


「何か言ってるのか?」


 いきなりあの大鹿が喋るとも思ってないから、ただにらみ合ってるけど、ちょっと不安になってきてアーシアに聞いた。ちゃんと会話してるんなら良いんだけど……


「あのね……来てほしいって」

「理由を言えよって言ってくれない?」


 何の理由もなく女の子を連れ込もうとするって犯罪だからね。野生動物だからそこら辺意識してないとかないから。むしろ野生動物だから危険って言うか……まああの大鹿にはそれなりの知性的な物を感じる気はするけど……でもそれはそれでやっぱり危険だよね。


「とっても楽しい、見せたい物があるんだって!」


 何か目をキラキラとさせて期待を膨らませてるアーシア。いやいやちょっと冷静になれ。それ、危ない奴が女の子を食い物にするときに使う常套文句だから。そんな言葉に乗ってホイホイついて行った女の子がどうなるのか、そんなの火を見るより明らかじゃん。


「アーシアは疑うって事を覚えた方が良いぞ。今の言葉だけじゃ安心なんて出来ないじゃん。そもそもが浚おうとしてたわけだし……」


 僕がそんなことを言って大鹿を見ると、大鹿は僕を睨むように見てその筋肉質の脚で地面をえぐるように脚をならしてる。何その威嚇行為のような物……「余計なことを言うな」……とでも言いたそうだな。

 でも僕は一応アーシアの保護者のつもりだからね。怪しい奴に無責任にアーシアを預けるなんて出来ない。まあ、ずっと一緒に入れるわけもないし、早急に安心出来る奴を見つけたいところではあるけど、流石に鹿とかないよね。


「げっ……」

「いっぱいだね」


 森の奥の方から同じような大鹿達がこっち見てた。でもあれ……


(本物じゃないな)


 風を周囲にながしてた僕にはわかる。アレは幻影の類いだ。圧力を掛ける気か? でもそんなのじゃ……とか思ってると、ひときわ小さな子鹿がひょこひょこと歩いてきた。これは……どうやら幻影じゃない。


「わぁ! 可愛い!!」


 そう言ってアーシアがつられて前に出る。おい! 子供で気をつるとか最低かこいつら!? 絶対に信用出来ないよ――そう思った。

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