表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1688/2704

1699 前に進む為のXの問い編 62

 僕とアーシア、それにヤドカリもどきは草原を抜けて森に来てた。うっそうとした森……とかじゃなく、なんかちゃんと日の光が差し込むようなそんな森だった。


(手入れされてる?)


 森とか山ってちゃんと手入れしないとボーボーと成ると何かで読んだ。手入れっていうのがどこまで人のエゴ……なのかはわかんないが、この森は少なくとも入るのもためらうような……そんな印象は受けなかった。


 普通にハイキング出来そうな森である。別に道があるわけじゃない。ちょっと邪魔な枝とか草はふんだり手で払ったりする必要は勿論ある。けどうっとうしいって程じゃない。

 それにこの森……


「あっ、何か居るよ」


 そういってアーシアが森の先を指さす。僕も視界を向けるとそこには鹿が居た。鹿である。別に鹿型のモンスターって訳じゃない。ただの鹿だ。まあLROの世界は地球とは違うという設定だから、地球に居る鹿とはちょっと違うけどね。この世界にはモンスターがいるからね。


 野生の環境は地球よりも厳しいんだろう。野生動物たちは地球の動物たちよりも大きい。今見えてる鹿だったそうだ。言うなれば、ジブリ映画のものの○姫に出てきそうな……そんな感じのたくましい鹿である。


「触ってみたい!」

「ああいうのは警戒心強いから無理だと思うけど……」

「手を振ってみる!」


 そう言って本当にアーシアはでっかい鹿に向かって手を振る。でっかい鹿はこっちを見てる。そう思ってると、なんか鹿の目が四つになったような……でも瞬きした後には普通に二つだった。見間違い? でも僕のこの目で見間違えるだろうか? 


(でも四つ目の鹿とかもうモンスターだし……)


 けどあの鹿はモンスターではない。だってモンスターなら集中してみると、HPとかステータスが見える。でも鹿のは見えない。ならあれは普通の動物枠な訳で……変な特性なんて持ち合わせていないはず。


「こっちにおいで」


 さしだした手と同時にアーシアがそう言うと、鹿はとことことこっちに来た。マジかよ……モンスターにも野生動物にも好かれる何かがアーシアにはあるのか? うん? トコトコと歩いてくる鹿。このGAMEの世界は色々と過酷だから地球よりもたくましくなるのはわかる。うん……だから鹿もリアルよりも筋肉質でたくましい。そして……


(デカ!?)


 見上げるくらいにデカいんですけど!? それに近くで見るとより筋骨隆々だ。これって小さなモンスターよりも絶対に強いよ。それに角もあるしね。立派なのがある。かなり強そう。てか威圧感が……


「かわいい」


 可愛いかな? アーシアは目をキラキラさせてる。鹿も頭を下げてきた。その頭をアーシアはなでなでとする。おとなしそうだな。僕も試しに……と思ったら――


「ブルル」


 ――と鼻息荒く頭を振ってその角で小突かれた。なんだ? お前は触るなってか? この鹿……そんなことを思ってるとなんか徐ろに鹿は歩き出した。アーシアを鼻先で小突きながら、なんかアーシアの周りを回って背後で止まると、一度止まって僕を見る。なんだ? 黒い瞳がキランと光った気がした。


 すると次の瞬間、背中側のドレスを咥えて、ぽいっとした。


「へ?」


 ふわっと浮いたアーシアが鹿の背に着地する。そしていきなり鹿が走り出した。


「ちょっ!? えええええええええ!!」


 あの鹿、何やってくれてるんだ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ