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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1698 前に進む為のXの問い編 60

「すごいすごーい!」


 そう言ってアーシアがキャッキャしてる。楽しそうで何よりだね。さっきからお尻を出してるウサギをぶっ殺してるだけだから、はっきり言って何が楽しいかよくわかんないけど……まあアーシアは楽しんでる。


 ただ何も出来ないウサギをぶっ殺してるだけだと、いくらモンスターと言っても、ちょっとした罪悪感が……本当にこのウサギたちがこの種みたいなモンスターを襲ってるのか? 


(なんか言いように使われてるだけじゃ……)


 そんな気がしてくる。僕はちらっと種のモンスターを見る。そのモンスターは次々と僕をモンスターのところにけしかけてるように思えるんだが……確かにウサギは種のモンスターよりも大きいから勝てないのはわかる。でも……最初に倒した奴以外は普通サイズのウォーラビットだった。これ以上は過剰じゃないか? まるで僕にこの草原に居るウォーラビットを殲滅させようとしてる……ように思えるぞ。


 ウォーラビットは草原に転々と巣を作ってるようだけど、一つの巣の側にはコミュニティなのか近い巣もある。その近くの巣を潰したら次に……って感じてやってるわけだけど……はっきり言ってただの弱い物いじめだよ。


 そもそもウォーラビットは普通に歩いてても別に僕たちには襲いかかってなんて来ないし。


 新たに巣の中に体を突っ込んで尻が見えてるウォーラビットを見据えて、僕は動くことをしなかった。


「どうしたの?」

「これ以上は、もうしない。しちゃいけないことだと思う」


 いや、まあ結局の所ウォーラビットはモンスターだし、しちゃいけないことはないのかもしれない。でも……


「なんで? 困ってるって言ってるよ」


 アーシアは種のモンスターの願いを叶えてあげたいみたいだ。けど……


「十分もう願いは叶えたと思う。そもそもこいつらを執拗に食ってたのはあの最初の大きな個体だけだと思うし。普通のウォーラビットならこいつらだって抵抗出来るすべはあるよ」


 そうだ。普通サイズのウォーラビットなら種のモンスターだってやりようはある。一方的にやられるなんて事は無いだろう。それでもやられる個体は出るだろうけど……でもそれこそ自然の摂理。第三者が片側について殲滅させるのは違うと思う。


「でもでも、困ってるんだよ?」

「それなら、ウサギたちだって困ってることはあるよ。それは、無視するの?」

「それは……」


 アーシアはうんうん――と唸ってる。どうすれば良いのかわかんないんだろう。アーシアは純粋だ。そうただ純粋なだけ。目の前の困った何かを見捨てられなかっただけだ。

 でも……僕は種のモンスターにフラングランを向けた。


「これ以上僕たちを使おうというのなら、貴様を切る」


 僕はそういった。そして少しの間。そう数秒くらいだろう僕は種のモンスターに圧力を飛ばす。


「スオウ!」


 そういうアーシア。僕の手を下ろさせようとしてくるが、アーシアの力じゃ僕の腕力には敵わない。するとようやく種のモンスターは一回ジャンプして慌てるようにして走り出した。そして消えていく。

 どうやら諦めたようだ。でも……


(狡猾な奴だったな)


 あいつもただ純粋な存在で自分が困ってるからって感情だけで、僕たちを使ってるのかも……とか思ったけど、僕がフラングランを向けても、別段怯えてはいなかった。最後のは明らかに演技臭い。あれは……かなり狡猾なモンスターだ。注意するように心に刻んでおこう――僕はそう思ってフラングランをしまった。

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