1679 前に進む為のXの問い編 41
「それで……なにかわかったか?」
「うーん、そうだねえ」
一通り楽しい時間を過ごした後に、そんなことを聞いた。日鞠は有能すぎる奴だからな。ただ遊んでる……なんて事は無いと思ってた。するとやっぱりだけど、ちゃんと日鞠の奴はヤドカリもどきのコードを戯れながらも見てたらしい。
「なんだか、二人の初めての共同作業? みたいだね」
「何言ってんの?」
赤い顔してもじもじとしてた日鞠だけど、ちょっと何を言ってるのかわかんないな。僕は普通に聞き返した。
「いやだって、この子の元々は私が作ったんだよ? それをスオウが改良を加えてこうなった。一通り見てみたけど、なんだが凄く親和性高く、このLROに溶け込んでるよ。流石スオウだね」
「……お、おう」
やばいな。日鞠の奴が何を言ってるのかよくわかんない。コードを見て何でそんなことがわかるの? いや、逆なのかもしれない。コードを見れるから、この世界との繋がりが本当はしっかりと見えるのかも? でも僕にはそこら辺がわかんない。たぶんだけど、僕にはコードへの理解が足りないんだろう。
でもなんか褒められてたからね……とりあえず肯定だけしておいた。だって別に悪い気持ちにはならないし。まあどこら辺が流石なのか自分でわかってないんだけど……
「それで、そいつどうしたら良いと思う? てか、ここで管理してくれたら楽なんだけど……」
「そんな! この子はもうスオウの子だよ。 連れて行ってあげて」
「いや、僕の子って……なんかその言い方嫌だな」
僕が自然とそんな返答したら、なんかヤドカリもどきがうなだれたような動きをしてる。むむ……ちょっと罪悪感が……でも……こんなデカいヤドカリを引き連れてると、目立つし……それに移動にも支障が……ね。
僕は一人だから身軽に移動出来るんだよ? まあ最悪、ヤドカリもどきを抱えて走るって手もあるけど……ヴァレル・ワンに乗せようにも、アレこそ一人乗り出しな。
シルクちゃんが前にテイムしてたピノは跳べたからね。しかもピノはめっちゃ綺麗なドラゴンだった。あれはさ、もう側に居れば自慢出来るって存在だったけど……
(自慢出来る……かな?)
ヤドカリもどきはポリゴンが組み合わさって出来たような見た目してる。はっきり言って強そうでもなければ、綺麗とかでもない。オモチャ感が強いというかね。
かわいい……と思えなくもないが……うーん。
「スオウ、この子の力に不安があるかもだけど、私とスオウの子だよ? きっと強くなってくれるよ」
なんか僕と会長の子――って部分をやたらと押しだしてくるな。僕は日鞠との最初の子供がこれっていや……というかなんかヤダなんだが……
まあ実際には僕たちはまだ学生だ。自立も出来てな……いや日鞠の奴は既に十分自立出来てそうだな。それなら子供だって……僕は変な妄想を振り払った。
いやいやだってその場合僕は何? ただの紐じゃん。しかも自分が日鞠よりも稼げるようになるビジョンが全く浮かばないし……
(今から料理とか家事とか、もっと真剣にやってた方が良いかもしれない)
どっちが家庭に入る……ってなったら、僕になりそうだし。とかなんか変なことが頭を駆け巡ってた。