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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1669 前に進む為のXの問い編 31

 僕とヤドカリもどきが海に落ちる。まあ実際は落ちるというよりかは飛び込んだ形だが。真下には渦があり、ただ何もない状態でこの渦の中に飛び込んだら、ひどい目に遭った。ても今の僕にはスキル『波の声』がある。

 これがどんな効果を発揮するのかはよくわかってないが、きっとこれが必要だったことに違いは無いと思う。僕はドバン! と水しぶきを上げて海の中へと落ちた。そして直後、体がもみくちゃにされるような感覚。


(さっきと何も変わらなく無いか?)


 そんな気がしてきた。でもまだわからないだろう。ここでこの渦の力に抵抗したところで無駄なことはわかってる。大きな自然の力には人の力なんてのはちっぽけなのだ。LROでは人でもとても大きな力を行使出来るが……それでもやっぱり自然の力というのは遙かに強大なのだ。


 僕がもみくちゃにされてる体をこわばらせてると、何かに支えられるような感覚があった。下から何か堅い物がやってきて、それに捕まれと言わんばかりだったからそれに捕まると、多少渦の影響を減らせた気がする。


(お前……)


 僕を支えてくれたのはヤドカリもどきだった。そういえば一緒に飛び込んだな。でもヤドカリって泳げるの? 泳ぐって言うか、海底を歩いてるとか言うイメージだけど……実際、ヤドカリもどきもこの渦の流れに逆らってるって感じではない。


 でもただもみくちゃにされるよりはやどかり擬きの宿の支えもあって幾分かマシになって余裕って奴が生まれてた。だからだろうか……何かが聞こえることに気づいたのは。


(なんだ? 歌声?)


 どこからともなく綺麗な歌声が聞こえる気がする。このまま渦に身を任せてれば、この渦が、この歌声の場所まで運んでくれるのだろうか? でもそれまで息が持つかな? かなり怪しいところだけど……とりあえず頑張るしかない。


 最初に飛び込んだときよりも何か流れが複雑になってる気がする。最初の時はさっさと砂浜に打ち上げられた訳だけど、今は海の底を目指してるような気がする。どんどん遠ざかる太陽。光さえも届かないような海の底に僕は誘われてる。


「がぽっ……」


 マジで限界が近い……一体いつまで我慢すれば……


(ちょっと遠くなってきたような……)


 渦でぐるぐる回ってるせいか、近く聞こえたり、遠く聞こえたりする歌声。もしかしたらただこの渦に乗ってるだけじゃ駄目なのかもしれない。でも動くのが無理なんだよね……どうにかして歌声に近い渦に移れれば……とか思ってると、ヤドカリもどきが動いた。なんか僕の意思をくんでくれたかのようだ。


 もしかしたら、こいつ自身もわかってるのかもしれない。なにせ元はこのスキルを与えるための存在だったわけだしな。そんなことを考えながら、僕は意識を手放した。

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