1665 前に進む為のXの問い編 27
「うーん」
どうやらあのヤドカリには会長が言うには僕がコードをぶっ壊すことも一応は想定してたみたい。だから普通のポップアップのコードよりも色々と手を加えたコードが追加されてたみたいだ。
「会長が仕込んでたのなら、変なことしなくて良かったって事か……」
てかむしろ僕が余計なことをしたから、もしかしたら永久にこいつに仕込まれてた設定の何か……は発動しなくなったのかもしれない。まあ一応、後で会うことにはなったから、そのときに会長にこのヤドカリもどきを見せてみれば、どうにか出来るかもしれない。
って事であんまり今の段階でコードをいじりまくるのも悪いかなって事で、コードの比較はいったんやめ……と言うかもっと良い方法を教わった。
頭の中で再びピロリンと音がなる。
「きたきた」
僕はインベントリを開き、送られてきたメッセージを確認する。そこはコードがびっしりとあった。もちろんこれは会長からだ。僕がヤドカリもどきと普通のフィールドにいるヤドカリを比較するのが面倒だと愚痴ると会長は「そういうのをやってくれるコードを書けば良いじゃん」――とかいうことをケロッと言った。
そして送られてきたのがこれだ。
普通はこれだけでは何の暗号だよ……という物だ。活用方法はない。けど、僕と会長には祝福という力がある。それはコードを見る力、そしてコードを弄る権限がついてる。
「あれ?」
それとともに、何かいつもと違う? いや、さっきは感じなかったけど……ただコードを比べるだけの時は何も変化はなかった。でも今は確実に変化がある。
なんといえばいいのか……会長のコードだからなのか? なんかすっと意味が入ってくると言うか……理解がしやすいというか……
「あいつのコードだからかめっちゃ綺麗だな……」
今まではコードの綺麗さとかはっきり言ってそんなわかんなかったけど……今は何かそれを感じることが出来るような気がする。もしかしたらこれって「ネクロマンサー」のスキルの効果? わかんないけど、会長のコードは前よりも読みやすい気がする。
なんとなく要点がわかる……というか目が滑るように入ってくるというか……
「あいつも意地が悪いな……」
完璧にしてくれれば良いのに……発動するには僕がコードを書かないと駄目な感じになってる。まあこのくらいはやれって事だろう。下手に誰にでも出来ると不味いというのもあるかもしれない。
とりあえず、僕は最後のコードを追加する。発動だけするためのコードくらい僕にだって書けるから。
まあこのコードを全部理解なんてすぐには出来ないけど……でも前よりも理解出来る気はする。コードへの親和性? って奴? 上がってるかも。これがネクロマンサーの効果だとしたら、もちべ的には嬉しいかも。
だってなにせコードを読んで理解して実際にやってみるって、かなり勉強チックだからね。勉強が苦手な自分にはなかなかにつらい。でもこうやってシステムが補助してくれるなら、もうちょっと深いところにいけそう。
僕はメッセージから会長のコードを取り出した。まあ僕が最後のコードを追加した事で、それが発動したってだけだけどね。別のウインドウが開いて、まずはヤドカリもどきのコードをそこに追加。どうやら対象を指定すると勝手にそのコードをスキャンしてくれるらしい。ありがたいね。僕のコピーアンドペーストは怪しいからね。次にそこらのやどかりのコードも表示させる。すると勝手にコードが流れ出して、二つのコードを比較してくれるという物だ。
「これは楽だな」
僕が必死に目を乾燥させながら比べてたのは何だったの? ってくらいだ。