1635 校内三分の計編 245
「なかなか摂理も自分の使い方って奴がわかってきたみたいデスね」
そんなことをぽつりと言うクリス。超スーパー美少女の摂理に切なげな表情で頼まれたら、それを強く反対するってなかなか出来ないよね。まあ実際ああ言うのって異性にはめっちゃ効くけど、同性は嫌いそうな手法のような気もするけど……けどコメント欄を見る限り、別に強い反対は見られない。
まあ皆、摂理が車椅子とか、病院生活が長かった……とか、家族とかいなくて天涯孤独の身とか知ってるからなのかもしれない。流石にそれを知ってるのに、ただ摂理のことをあざといとかいったらそいつがめっちゃ冷たいみたいに見られる。
まあ実際はネット上だから言うことは出来ると思うんだけど……ネットリテラシーが皆高いのかもしれない。実際この学校ではそういうネット関連の授業とかもしてるからね。
普通の学校では教えないようなことも、この学校では特別授業の中でやったりしてる。普通の授業の後の放課後にそれを設けてるわけだから、もちろんすべての生徒が参加できるようなものじゃないし、普通なら授業が増えること自体を喜ぶ学生なんてそうそういないと思う。
でも日鞠が持ってくる授業は人気だからね。いつだって満員御礼立ち見でも授業を受けたいって奴らが出るくらいだ。さらにはネットにも公開してるからね。
生徒だけが見れる様になってるんだよね。そういう努力のたまものなのかもしれない。こういう匿名性の高い場所には、後先なんて考えずに自分の欲望を投下して感情を垂れ流しにする奴らって一定数出るからね。
それがないのは皆がいろんなリスクって奴を理解できてるって事だろう。
「摂理ちゃん、生徒会長は大変だよ? ゲームも今までのようにはやれないかもだよ?」
「うっ……それはでも私はどっちもやりたいから」
「ゲームと会長職を同じに考えてるんですか? 信じられません!」
一年生の彼女がそんな風に怒った口調で言った。まあまあ――と言いたいところだけど、僕が言うと彼女怒りそうだし、日鞠になだめてもらおう。僕は静かに流れを見守るだけだ。
今の空気は、『不安は不安だけど、摂理がかわいいからまあいいかな』的な雰囲気になってる。デメリットがないわけじゃないが、日鞠がスーパーな生徒会長に格上げして、別に何もしなくなるって訳でもないって事になってるからね。皆そこまで心配することでもないか――っ思ってるんだろう。
「でもね。ゲームだって私には大切だよ。大丈夫、生徒会のこともちゃんとやる! うん、頑張るから」
「摂理ちゃんに覚悟と意思があるなら、私はそれでいいと思うよ」
「会長!」
「まあまあ、期待してくれてここを選んでくれた一年生たちには悪いと思うけど、大丈夫だよ。悪い方向になんて行かないからね」
「私の会長はずっと会長だけです……」
そういって一年生の彼女は日鞠の胸に顔を埋めてる。そんな彼女を日鞠は頭をなでて「よしよし」としてた。とりあえずはそうだな……なんか摂理が生徒会長でもいい――みたいな空気が形成されてる。そしてそれを日鞠も認めてる。
これはつまり……もう、そういうことって事? 月曜日の投票は、皆そういうことで納得してるって事か?