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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1631 校内三分の計編 241

「私は日鞠ちゃんの代わりになる覚悟なんて、そもそもなかったんだよ」


 摂理の奴は開き直ったのか、それとももうやけくそなのか、その本心を隠すことをやめたみたいだ。いろいろと期待されるのには疲れたのかもしれない。

 てか勝手に期待して失望されるなんてのはお門違いだと思ったのかも。日鞠という偉業を成し遂げる奴の代わりになんてなりたくない――それが摂理の答えなのかな?


「先輩に対して失礼ですけど、じゃあ、どうして生徒会長になろうなんて思ったんです? 少なくともこの学校で生徒会長になるってことは今の会長を超えなくちゃいけないはずですよ」


 一年生の女子がそんな風に摂理に厳しい視線を向けている。てか一番厳しい視線を向けてるのが彼女だね。他は結構生暖かい。まあ僕だってそこら辺知ってたしね。クリスだって日鞠だってそうだろう。鈴鹿だってわかってたはずだ。

 だから僕たちに対してはそれは別に驚きではないんだ。でも周囲はそんなの関係なく盛り上がってしまってた。というか、一年生の彼女の言うように、この学校の生徒会長になるには必然的にそうなるから、その気があるんだって多分皆勝手に思ってたってことだと思う。

 でも摂理はもっと気軽な気持ちだったってことだ。それをいきなり……日鞠がやってきたことのような凄い事をやれって言われてもってことだと思う。


「そうだけど、私はただ日鞠ちゃんと対等になりたかっただけって言うか……何もせずに負けたくなかったって言うか……」

「負けたく無いのに、超えなくていいんですか?」

「それは……超えたいとか思ってたけど、そっちじゃないし」


 そう言って頬を膨らませる摂理。そのかわいさにコメント欄では「姫かわいい」があふれてる。単純な奴らが多いようで……


「そっちじゃないって……つまりは生徒会長選挙を私物化してたって事ですか? 会長を超える気も無いのに、自分の自己満足のために会長にぶつかった愚か者って事ですか?」

「そうだね、私は愚か者だよ。認めるよ」

「会長、やっぱりこの人駄目ですよ」


 どうやら一年生の彼女の摂理への心証はどんどんと下がってるみたいだ。まあ褒められるようなこと言ってないからな。でも……これは摂理の本心だと思う。

 今それを言ってるのはもう諦めたのかなって――皆思ってるだろう。だってつまりこれは端的に言うと――


『私は生徒会長になる覚悟なんて無かったんです』


 ――って言う暴露に他ならないからだ。それを今この場で言うことで、コメント欄には勿論失望してるような声もあるし、非難だって目につく。でも、それでも摂理は今までずっと隠してた本心を語ってる。

 それは本当に責任から逃れたいからなのか? 


(いや違う)


 僕はそう思う。摂理は逆にこの学校の生徒全員に真摯に向き合うことにしたんじゃないだろうか? 

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