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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1630 校内三分の計編 240

「その人は……確かに本当にかわいいし、綺麗だし……人気取りにはいいと思います。でも……会長の代わりになるなんてどうしても私は思えません!」

「あう……」


 一年生の子にはっきりとそう言われて涙目の摂理。そこできっぱりと反論できれば……印象も結構変わると思うんだけどね。根拠なんて無くてもよくて、ただ「大丈夫!!」とか言えばそれだけで印象は違う。


 自信って奴は態度に表れるからね。何も考えながなかったとしても案外堂々としてたらみんなに一目置かれるってことは結構あるものだ。でも今の摂理のように、自信なさげにしてると、周囲も不安になってしまうというもの。


 さっきまで自信って奴を背筋を伸ばすことで見せてたわけだけど、今や再び背が丸まってるからね。それじゃあ自信なさげに見えてしまう。張りぼてでも何でも、トップには堂々としてもらいたいんだよね。


「この人よりは……まだそっちの人の方がましだと、私は思います。生理的に好きになれない人ですけど……」

「あはははははは、はっきりと嫌いなんてあんまり言われないから、新鮮デスね!」


 何で喜んでるんだよクリスの奴は。嫌われてるのにうれしそうって、マゾの素質もあったの? こいつはどっちかというと、S――と思ってたんだけどな。人を使うの好きだし、絶対に自分の主導権は譲らない奴だと思ってる。

 それにこいつ、自分から勝手にクリスのために動くように仕向けるような奴だからな。自然と自分に尽くすように誘導するじゃん。もう絶対に女王様気質だもん。


「そういうの嫌いじゃないデス。でも残念。私はもう支持層なくしちゃってます。期待に添えることはできないんデス」

「別に期待なんてしてないです。あなたへの期待は会長の百分の一くらいですから」

「それは残念。ちなみに摂理への期待はどのくらいですか?」

「今のところ、ゼロですね」


 厳しい意見だった。容赦ないねこの子。まあ確かに、摂理に容姿以外何を期待するのかって考えると難しいとは思う。何せ容姿以外は本当に普通だからな。

 でもここで何か言わないと本当に誰も摂理に来たいなんてしないぞ。一年に言われっぱなしって、ちょっと情けないからな。


「「私は」」


 重なる声。同時に声を発したのは日鞠と摂理だった。視線が二人で交錯する。そして日鞠が「どうぞ」と譲った。今のは日鞠は摂理をフォローでもしようとしたのかもしれない。

 実際日鞠がスーパー生徒会長になる気があるのかはわかんないが、別に悪い話ではないからな。それに日鞠ってそういう奴だし。争ってる相手にだって、日鞠は慈悲を向けるくらいする。まあそれは日鞠自身が圧倒的に上にいるから……なのかもしれないけど。

 でも声が重なったってことは、摂理だって何か言おうとしてたってことで……その決意って奴を日鞠は尊重したんだろう。だから譲った。


 譲られた摂理は、ちょっとだけ周囲に視線をさまよわせる。そして僕と目が合った。何やら泣きそうな顔してるけど……心配ではある。でも摂理は思いのままにやってもいいと思う。今までいっぱい我慢してたんだしな。

 だから僕は頷いたよ。何が伝わったかはわからない。でも摂理は目を閉じて息を吐き、もう一度背筋を伸ばした。

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