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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1625 校内三分の計編 235

「会長は会長のままが一番で……それがこの学校の為にも、みんなの為にも一番いいんです!」


 言葉を全部言った彼女は震えてる。まあここにはほぼ上級生しかいないからな。一年生の彼女が何かを訴える――なんて事をするには相当ハードルが高いに違いない。


「それも一年生たちの総意とか、そういうつもりで日鞠はその子連れてきたんデス?」


 クリスが頑張ったその子の言葉をあっさりとスルーしつつ、そんな事を言う。まあ実際はスルーしてるわけではないんたろうが、震えつつも必死に言葉を紡いでた彼女と比べたら、クリスの態度はあまりにも軽い。明らかにそういう風に見せてるし、指して興味がないってのもあるにはあると思う。


「そういう訳じゃないよ。ただ、一年生の声は届きにくいからね。一年生にとってはあまりわからない時に選挙やってるし……普通はそんなに気にすることもないのかもしれないけど、でもやっぱり会長となるなら、一年生を無視なんてできないでしょ?」

「ここで一年生にもアピールとは恐れ入りますデスよ」

「アピールじゃなくて、無視なんてしてないよって言いたいだけ」

「でもその子、めっちゃ日鞠推しじゃないデスか? それじゃあ、一年生は日鞠派なのかなって成ります。日和見してる子たちだって、とりあえず日鞠に入れとけばいいやって成ります。

 特に私たちの事をよく知らない一年生たちなら、そういう周囲の圧力に流されがちデス」


 クリスのいう事は一理あるな。ここで日鞠が一年生たちの感情も拾っていくとなると、それは盤石の態勢を固めつつあるという事のような気がする。まあ実際日鞠の態勢は盤石だ。だからこそいまさらそんな事やる必要あるか? って気はするが、日鞠はミスを犯さないからな。


 ほころびなんて見せない奴だ。だからこそある意味でクリスのアプローチは正解だった訳だ。日鞠の見落とした穴を突くなんてことはほぼ不可能に近い……だからこそ日鞠と共存しつつどうトップを獲るか……それにはやっぱり日鞠は必ずしもトップではなくてもその才能をいかんなく発揮できて、更に今までもよりもよくなるっていうアピールが必要だ。


 でも皆、変化は怖いんだ。何よりも、すでに大きく変化した。一年生で会長になった日鞠がこの学校を大きく変えた。ならこのままが一番なんじゃ――と誰もがそう思う。下手な事をしなくて、今のままなら確実な成長って奴がきっとある。


 それは先の一年で証明されてる。リスクを負わなくても日鞠が生徒会長の席にいれば自分達は安心できる――という思い。それはきっと皆ある。

 人は実は変化を嫌う生き物らしい。新しいことに挑戦することは誰だって怖くて、いまが成功してるならなおさらだ。わざわざどうなるかわからないことをやるよりも今までの安定を……それが誰もが考える安定志向。


「皆、日鞠を好きなんですね。勿論それは私もデス。こんな面白い存在、そうそういるものじゃないデスよ」


 面白いってなんだ? でもクリスの奴は本気でそう思ってるみたいな気はする。


「クリスちゃんにそういってもらえると嬉しいよ」

「けど、日鞠。だからこそ、わかってると思うデス。変化していく事だけが、唯一の成長し続ける術だって事を。日鞠はそんな安定志向に走る奴じゃないですよね?

 それに生徒たちの事を考えてるようでも、本当は自分のやりたい事をやってるだけじゃないデス? だってどう考えても日鞠のやってる事、やろうとしてる事って過剰ですよ」


 挑発かよ。こうなったらクリスの奴……日鞠の口から「会長やらない」って言わせようとしてないか? けどまあ……過剰なのは認めるけどね。


 もちろんそんなクリスの言葉には反論する言葉がコメント欄であふれてる。今までちやほやされてし、いきなり応援してた人たちを解体してもうまく立ち回ってたクリスだが、流石に今回は露骨に嫌われるんじゃないか? ある意味いい気味だけどね。


「えっえ? 日鞠ちゃんは皆の為にやってるんだよね? 皆の為に生徒会長で居たいんだよね?」


 摂理にとっては思ってもなかったことをクリスが言ったからか、混乱しながらそんな事を言ってる。

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