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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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1614 校内三分の計編 224

 摂理が堂々してる。ただ座って堂々としてるだけ……けど、たったそれだけの事でも、摂理の陣営の空気が変わったのがわかる。なにせ摂理は御旗だ。その摂理が堂々としてないと下についてく奴らの声が小さくなるのは自明の理だろう。

 だからこそトップはどんな時でも堂々としてないといけないのかもしれない。そしてこれには今まで摂理がやってきたことがある意味で生きてるのかもしれない。

 なにせ摂理は自分の身内……というか選挙を応援してくれる応援団みたいな組織相手には案外わがまま……というか横暴に接してきてた。

 

 普通は味方には甘く、優しく接するのが常識だろう。というかそうしないと見捨てられないか――とか考えてしまうものだ。てかどうあってもそんな風に考えるだろう。

 でも何故か……いやなぜかというのもおかしいか。僕はその原因を知ってる。それは僕の隣にいるやつ……クリスのせいだ。そもそもが摂理の性格からして誰かに高圧的に出るなんてのは自分からは考えられない。

 ずっと人間関係が希薄だったから、摂理はその構築とかが苦手だしな。自分から壊すようなことを進んでやるなんてことは絶対にない。でもクリスの奴が変な性癖というか、そういう事が必ずしもマイナスにはならないとかいうアドバイスをしたから、摂理は自分に特別に甘い連中だけは自分の厳しい面というか、冷たい面を見せてわがままな感じにもやって。

 だから今はその経験が生きてると思う。まさかクリスの奴はこれを想定してた? そんな事を思って僕は隣の奴の顔色をうかがう。クリスは僕と目が合うとニカッと笑ってピースをしてくる。それはそこらの男子ならまず間違いなく恋に落ちるような笑顔だ。


 本当にただ無邪気に、気がいいギャルみたいな笑顔だった。ちょっとだけドキッとしたけど、平常心を僕は保った。摂理の変化にこの放送を見てる摂理派の奴らが声を上げだしてる。

 おどおどとしてる状態じゃ、自分達が持ち上げてもいいのかさえわからない。だから声を大にすることもできなかったんだろう。今まで全く存在感無かったもんな。

 けど摂理が堂々と戦う事を決めれば、その下についてる奴らだって摂理の事をアピールしやすくなるというものだ。


『姫はこの通りこの学校の顔になれるほどの器を持ってるぞ!』

『そうだそうだ! 姫はただそこに控えているだけで尊いのだ!』


 まあなんか応援してく奴らの風味が強すぎるのがね……それって摂理の容姿しかほめてないからな……まあけど、誰だって下につくならかわいい子の方がいいとは思ってるかもしれない。実際生徒会長というのは学校の顔だ。代表だしね。

 けど――


『今の会長で何の不満があるっていうんだ!』


 ――そんな声も当然上がってる。なにせ日鞠の事は評価してる奴しかいなんだからな。でもだからって息を吹き返した摂理派はひるんでない。さっきのクリスの言い草を使ってるんだ。


『会長を下にしたい訳じゃない! 誰もが会長の事は認めてる! ただ会長の負担を少しでも和らげるためにも姫が顔になった方がいいという事だ!』


 そんな主張がクリスの言葉に乗って繰り広げられてる。実際確かに今はクリスの思惑通りに会長である日鞠の負担が大きいからそれをどうにかできたらいいね……的な雰囲気で摂理派はその負担の分担先としてこれ幸いと摂理を押してるわけだ。

 実質的に推せるのが摂理しかいないってのもある。クリスがいればクリスを押す奴らもいただろう。けどクリス派は今や崩壊して、ここで一気にゾンビの様に復活して巻き返す……なんてことをクリスは望んでないと明言した。

 トップが動かないとなればその下についてる奴らも動けないのは摂理が証明してる。だからクリス派は動けない。


 ならここで一気に摂理を押そうという判断だろう。さてさて、ここで一気に日鞠の票が流れるかが、今回の選挙の分水嶺かもしれないな。

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